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憲法9条の思想水脈 (朝日選書823)
 
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憲法9条の思想水脈 (朝日選書823) [単行本]

山室 信一
5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

20世紀は戦争の世紀であると同時に、平和を希求した世紀でもあった。第一次大戦後、戦争の違法化という世界の動きに連動するように、日本でも非戦論批判の圧迫を受けながらも、非戦の思想や文学が途切れることなく表れた。平和思想、非戦思想は戦後突然、与えられたものではなく、地下水脈として流れていて、その到達点として今の憲法9条がある。改憲論に論証を持って一石を投じる。

内容(「BOOK」データベースより)

戦後日本を60年支えてきた日本国憲法。その改正手続きを定めた国民投票法案が2007年5月、国会で成立した。争点は9条である。人類の歴史のなかで、絶え間なく繰り返されてきた戦争。じつは、それゆえに平和を求める切実な声が途絶えることはなかった。日本でも幕末以降、軍備撤廃を論じ、戦争廃止を訴える思想が現れ、それらが第一次世界大戦後の「すべての戦争の違法化へ」という世界の動きと合流していった。憲法9条は、戦後、突然生まれたものではない。世紀を越え、国境を越え、脈々と流れてきた平和運動や非戦思想の到達点にあり、平和を個人の生存権として主張する画期的な条文なのだ。日本はいま「国益」「同盟強化」の名のもと、戦争を前提とした軍事力均衡(バランス・オブ・パワー)政策が国民を守らなかった19世紀に戻ろうとしているのか。

登録情報

  • 単行本: 304ページ
  • 出版社: 朝日新聞社 (2007/6/20)
  • ISBN-10: 4022599235
  • ISBN-13: 978-4022599230
  • 発売日: 2007/6/20
  • 商品の寸法: 18.6 x 12.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.8  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
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形式:単行本
最近ちまたで目につくもの。反知性、あるいは反知性主義とでもいうべきスタイル。これはご当人にとってはセンスというものかもしれない。あまりにナイーヴ。あまりに素朴。知性とは、当然のことながら頭が良い悪いではない。学歴などでは些かもない。直面する問題や言説に対して、歴史に参照するという姿勢であり、夜郎自大な物言いに陥らないように警戒し、先人や他者に学ぶということだ。
本書は憲法第9条の源流を遥かに遡及して、突き止めようとする知性の書だ。
たまたま過日、某「公共」放送の番組で、評論家とともに一般人も討論に加わる番組を見ていた。テーマはまさに憲法第9条である。
例えば、集団的自衛権について、「友達が殴られていたら助太刀するのが友達というものだ」などといった、まことに素朴な「意見」を述べる男性がいた。また、日本国憲法に受け継がれてきた思想的なバックボーンを顧みずに(それを学ぼうともせずに単純に)、現状に合わないと平気で言う女性がいた。これらは「意見」というにも憚られる気がする。単なるフィーリングの吐露であるように思われる。
素朴、純朴、無知である。これは後半歩で無恥となる。こうした背景には、反知性主義という名の、おそらく世界的に跋扈している潮流がある。『アメリカの反知性主義』(みすず書房)というホーフスタッターの本によると、アメリカには地下水脈のように反知性があるという。果たして、日本にはそういうものがあったのか? そしていまはあるのか?
第9条は、それだけがスタンドアローンとして存在するのではない。それは過去の歴史的な経験、闘争、悲惨を経た思想的遺産、それら多くのものが結晶している。戦争と平和と一概に言うが、平和とは戦争が起きていない休戦状態のことをいうのではない。前文および25条に述べられている生存権と、万民が等しく恐怖と欠乏から免れ平和のうちに生活する権利があるというときの「平和」をいう。恐怖と欠乏こそが戦争を産むのであることは自明だ。著者はこの延長上に、あるいはその理想を押し進めたところには「世界連邦」への希求があるとする。
憲法論議に多くの人が参加するのは必要なことだ。しかし、反知性のあまりに無知=無恥なおしゃべりだけでは憲法が余りにかわいそうだ。憲法を論ずる人には、読まれるべき1冊が登場した。
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10 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
 憲法第九条というと、直ぐにイデオロギーで敵・味方のように構える人が多く、ちょっと面倒臭くて避けたくなりませんか。何を隠そう、私もそうでした。

 しかし、韓国の友人から、韓国でこの本のハングル語版が出て話題になっていると教えられて、講読することにしました。
 
 日本語版は、注などの多いハングル版よりもコンパクトな造りなので、多少びっくりしました。
 ハングル語版の方が大版で厚く、韓国の読者に対する著者の呼びかけが新たに付け加えられているようです。

 さて、その内容は、憲法九条はアメリカ人から強制されたものという、私がずっと思い込まされてきた常識?なるものを根底から覆すものでした。

 日本人が国際情勢を見ながら、幕末以来、いかに世界に平和を築くべき、さまざまな思想を独自に積み重ねてきたかが、法律や歴史には不案内な私には、多少細かすぎるほどに丹念にたどられています。

 多すぎて大変でしょうが、できれば多彩な登場人物について、写真だけでなく簡単な紹介なり、プロフィールを付けて貰いたいと思いました。改版の折には、是非実現して欲しいです。

 この本を読んでいて、まず感じたことは平和思想に限らず、思想と言うと何でも外国から来たものと思うのは、却って日本人が自らを卑下する行為ではないかということです。

 憲法第九条につながる非戦思想は、例えば古来から殺生を戒めてきた日本人が営々と積み重ねてきた生き方や他者とのつきあい方の一つの現れでもあったのではないか、というように思えてきています。

 この本を読んで、軍事力=国力だと勘違いして日本を引き回した人たちよりも、表面は軟弱に見えても、激しい弾圧に静かに耐えながら、粛々と思考を研ぎ澄ましてきた先人たちを持った思想的伝統(=思想水脈)こそ日本人として誇りとすべきではないか、という筆者の声が聞こえてくるように私には思えました。

 非戦や平和を訴えるのは夢想とあざ笑うことで、自分はあたかも現実主義者であることを誇りたがる人もいますが、E・H・カーが指摘したように、「リアリストに固有の欠陥は、その思考が何も生まないことである」ということこそ真実ではないでしょうか。
 
 人を嘲ることで自らが高みに立ったかのように錯覚することの惨めさに気づかないことほど、滑稽で卑屈で哀しいことはないはずなのです。
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3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
読み終えて、うれしくてたまらない。日本人に生まれてよかった。本当に誇らしい。

今やそれなしで日本人が平和に暮らしている大陸の権益とそれを追求した日本の国体のためにアジア太平洋戦争では、日本人300万人、アジア人2000万人が死んだ。みんな各国の庶民だ。戦争指導者はほとんど生き残った。

戦争は悪だ。つまらない戦争目的のために戦争に駆り出されて殺しあうのは庶民だ。そして、それに巻き込まれて殺されるのもこれもまた庶民だ。戦争とは庶民が兵隊にされて庶民を殺す庶民の殺し合いだ。

この戦争の単純な事実を踏まえて、古くから世界には非戦、反戦思想が起こり、ルソー、カントを始めとする幾多の偉大な思想家の営為があった。それは、日本においても同様だ。戦前の思想統制の下にあっても、多くのそして力強い非戦、反戦の思想とその実践があった。

この本は、それらの内外の非戦、反戦の思想が日本国憲法の前文と第9条に結実していく姿を丹念に追っていく。この本が明らかにするのは、憲法第9条の戦争放棄と戦力の不保持は、そのような歴史の中で蓄えられた平和への人類の叡智であるという事実だ。

その意味で、憲法第9条は尊く、他国民に先駆けてそれをもって世界における平和へのリーダーシップを取るとの日本人の決意は本当に誇らしい。

よい本です。ぜひお読みになって、憲法第9条の平和主義の世界史的意義とそんな憲法を決めた日本人の勇気と精神の気高さをぜひ知ってもらいたいと思います。
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