主要判例の主要部分を集めた判例集です。
満足した点
1.事実の記載がそこそこ詳しく、判旨が長い。また、反対意見や補足意見の記載も多い。
2.最新判例が載っている。平成22年1月20日の砂川市神社土地利用提供行為違憲判決もちゃんと載っています。
3.判例の数が多い。百選に載っていない判例も多数。
4.論点毎にブロック分けされており、読みたい部分がすぐに見つかる。
5.棄却、破棄差戻といった最高裁の判断の記載が有る。意外とこの記載が有る判例集は無いので。これが有ると、「事実の確認→原審の判断・理由→最高裁の判断→理由」という流れで読めますので、個人的に重宝しています。
6.該当判例の評釈一覧(百選含む)が有り、リンクが容易。また、判例について若干のコメントが有り、関連判例等も紹介。
7.本のサイズが百選等と比べて小さい。
不満な点
載っていない判例が意外と多い。
芦部憲法や百選にも載っている重要判例が載って無い事が多々有り、「あれ、この判例が何故載っていないの?」という事が結構有ります。
例えば、麹町内申書事件では、何故か地裁のみ(百選は最高裁)。第一次家永訴訟も地裁のみ(百選は最高裁)。大嘗祭訴訟、大分県屋外広告条例違反事件等も未掲載。
新しい重要判例が出たために削除されているのかと思いますが、芦部憲法等で勉強している際には、結局百選を併用することとなり、面倒では有ります。
良い点も結構有り、お勧めできるのですが、百選と併用し、隙間を埋め合わせる事が必要である点が少し不満でも有ります。
ただ、補足意見や反対意見が、多く長く引用されているのはこの種の本では珍しく、そして有用でも有りますので、学習上重宝すると思います。
以上のことから、私見としては、中級者向けの判例集だと考えます。
上級者の方、ローの高学年の方にとっては、最高裁の判決原文を読む必要が有りますので、必要無いのではないかと思います。