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55 人中、49人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
このタイトルはどうかなあ。,
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レビュー対象商品: 憲法とは何か (岩波新書) (新書)
本書は,明示はされていないが,その中身からみて,筆者が,各種法律雑誌に寄稿したものを一般人向けに書き直したものだと思う。 したがって,「憲法とは何か」というタイトルから感じられるほど,統一感のある書物 にはなっておらず,いわば論文集であって,雑然とした感じの書物になっている。無論, いずれの章も,「憲法とは何か」を考えさせるものであることは間違いないが。 私としては,この本をこれから読もうとする読者に対し,もし未読であれば,まず『憲法 と平和を問い直す』から先に読むことを勧めたい。筆者の憲法理論の根幹は,『憲法と平和 を問い直す』の方が丁寧に触れてあるからである。 いわば,『憲法と平和を問い直す』は「基礎編」,『憲法とは何か』は「応用編」という 関係にある。「基礎編」から読んだ方が,「応用編」への理解も深めることができるよう に思う。
2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
憲法典改正にどこまで意義があるのか,
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レビュー対象商品: 憲法とは何か (岩波新書) (新書)
1956年生まれの憲法学研究者が2006年に刊行した本。近代社会は人の生き方や世界の意味について根底的に異なる価値観を抱いている人々がいることを私的領域において認めた上で、それでもあえてお互いの存在を認め合い、社会生活の便宜とコストを公平に分かち合う公的な枠組みを必要とし、立憲主義を創り出した。この立憲主義の考えに立つ憲法の主な役割は、政治がその本来の領分を踏み越えたり、政治の働き自体を損ねかねない危険な選択をしたりしないよう、予め選択の幅を制限し(プレコミットメント)、議論を方向づけることにある(このため著者は憲法典の準則視を批判する)。憲法は国家の基本となる構成原理を示すものであり、したがって具体化されたときに初めて実効性を持つため、成熟した民主国家にとっては、憲法典の改正を通じてしかなしえない事柄はさほど多くない。むしろ、さまざまな私的利害の競合と調整の場である日常的な政治に振り回されないよう、改正手続きにおいて特別多数決を要求する憲法は多く、それによって通常の立法のプロセスで解決できる問題に政治がエネルギーを集中するよう促している。仮に改憲を行うとしても、今後の国家像に関する充分な熟議期間を設定し、公正な討議の機会を保証した上で、個別論点ごとに投票を行うべきである。以上が本書の主な主張であり、各章の末尾には文献解題が付されている。私は国家と戦争に関する考察などに疑問を感じたが、原爆論、三権以外の機関の独立性を説く部分、首相公選制反対論(軍隊を用意せずに指揮官だけを選ぶようなもので、政党も個別利益の追求に走りかねない)、討議の祝祭日論、イギリスの一元的民主政や憲法改正手続きのはらむパラドックスに関する指摘、専門家集団による法慣行の意義に関する部分、ホッブズ理論の限界に関する指摘などは興味深く読んだ。
36 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
立体的な視点からの優れた憲法論,
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レビュー対象商品: 憲法とは何か (岩波新書) (新書)
2年前に刊行された、ちくま新書『憲法と平和を問いなおす』の姉妹編。前著では、著者の憲法論の根幹をなす「立憲主義」について、原理的な考察がなされた。本書では、それを踏まえて、「冷戦の終結とリベラルデモクラシーの勝利」(第2章)、「憲法典の変化と憲法の変化」(第5章)、「憲法改正の手続き」(第6章)などで、考察を、日本国憲法の「改正」問題に近づけてゆく。著者の憲法論はきわめて視野が広い。ホッブズ、ルソー、カントなどの近代政治哲学、シュミット、ケルゼン、シュトラウスなどの20世紀の法哲学、ウィトゲンシュタインの言語ゲーム論やハートの法実証主義などだけでなく、現代アメリカの最新の憲法学や国際関係論の成果を踏まえて、議論がなされている。そして何よりも、バランス感覚の優れた判断力によって、その主張には深い説得力が感じられる。第2章では、「冷戦の終結」を、19世紀後半の軍事技術の飛躍的向上に始まる国民国家の変容を経て、公的領域と私的領域を分けるか否かという二つの国家観による「憲法をめぐる戦い」の決着という、スケールの大きな歴史的視点のもとに捉え返す。「冷戦の終結」が「リベラルデモクラシーの勝利」であるのは、資本主義が共産主義に勝ったという表面的なものではない。「人生の意味」や「人間の正しい生き方」をめぐる「比較不可能な価値の争い」を私的領域に割り振り、それには影響されない公的で公平な社会的枠組みの構築を目指す「立憲主義」の勝利なのである。日本国憲法は、このような「立憲主義」の文脈から冷静に吟味されるべきであり、平和主義の「原理」を標榜する憲法第9条は、自衛のための軍備の保持とはまったく矛盾しない。だから、憲法典の文言としての第9条を無理に変える必要はない。このように説く著者の冷静な議論に、深い感銘を覚える。
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