昭和33年の新東宝のモノクロ通俗映画です。
中川信夫監督と名優天知茂が出会った記念すべき作品として、いずれは日本映画史に記録される怪作ではないでしょうか。
アクがつよいので、万人向けではないかもしれないけど、好みが合えば拾い物。
悪の権化とでもいうほかない波島憲兵中尉に扮した天知茂の存在感が抜群。
あの目つきと頬とくちびる、あのしぐさ。
天知の酷薄な横顔にはあらがえない魅力がある。
シェークスピアの『リチャード三世』をおもわせる俗悪ピカレスクロマンが、いつのまにやら、おどろおどろしい怪談にさまがわりする展開。
怪談映画の名匠の手による派手な演出は、いろんな意味で、たっぷりと楽しませてくれる。
久保菜穂子、三原葉子、万里昌代といった往年の新東宝の女優陣が適度なお色気を振りまいていることも見どころでしょう。
蛇足ですが、準主演格の中山昭二は、のちにTVの『ウルトラマン』のウルトラ警備隊隊長が当たり役となるバイプレイヤー。
中川信夫作品は、どれもこれもDVDが高価なせいで購入をためらいがちになることが残念です。
もうすこし値段が手頃であれば、いきおいで最高の評価をつけていたかも。
画質と音声は良好なほうでしょう。