アメリカの底力、真の教養人によるユーモア溢れるエッセイ集。
鬱々としていた1981年当時、殆どメジャーリーグの知識無しに山藤章二氏のイラストに誘われて本誌のハードカバー版『アメリカ野球ちょっといい話』を読んで心が洗われた。本当に救われた。
扱われているメジャーリーグの記事は1972年から76年迄の5年間で、全てのエッセイが傑作だが、オークランド・アスレチックスのWS3連覇から、ビッグレッド・マシーンの台頭までを描写した素晴らしい年代記とは別におそらく最も早くイップスについて触れたエッセイ、パイレーツの70年代初頭のエース、スティーヴ・ブラスを題材とした『終の別れ』の体はどこも悪く無いのに突如野球の才能を失ってしまった選手が人としての誇りを保持している描写が感動的である。
ジャンルは違うがスティーヴン・J・グールド博士のエッセイと共通する心の自由さを感じる一冊。老若男女全ての方に大推薦。
そして未訳のエンジェル氏による野球エッセイ、日本版刊行を心より望みます。
メジャーリーグの情報が大量に入手出来る現状でなぜ名作ベースボールエッセイの邦訳が出版されないのか…。