ノムさんはともかくとして、野中さんといえば21世紀初頭の日本政界において最大の憎まれ役−というか“悪役” その悪役の視点から加藤の乱の経緯や、森元総理時代の顛末記が書かれていて興味深いです。
通読してみて面白いのはお二人とも恵まれない境遇から身を起こしてトップに上り詰めた経歴をお持ちだけに、人間関係や、分をわきまえた地道な努力の大切さを懇々と説かれるところです。 マスコミによって華々しく作りあげられたスターたちの言動が我々の日々の励みになるよりというよりは、苦笑やバッシングを煽り立てる格好の材料になっている現状を見れば、確かにこれらは忘れたくない日本の善き伝統の一部だと思います。 しかし、野球と違って政治というものは結果がすぐには見えないので本当に大変です(しかも日本の指導者はめまぐるしく変わりすぎます)。 野中さんは遅咲きだったゆえに、政治は勝たなくては意味が無いことを熟知していて、勝つためにどれだけ粉骨砕身したか、どんな技術が必要なのかをかなり強調しているのですが、(少なくともこの本においては)その勝利の果てにどのような国家作りを目指していたのか、というビジョンはほとんど書かれていません。 しかも彼が支えてきた総理大臣たちの顔ぶれがいかにも弱かったというのも不運だと思います。 ノムさんの方はまあ、目標は日本シリーズ優勝、しかも野球選手としてだけでなく、人間としての内面教育を重視というスポーツマンとしてほぼ完璧な外面と内面の目標を掲げているので分かりやすいのですが。
お二人とも生涯の仇敵小泉・長嶋に関してはまだ怒りを抑えきれないのか、かなり激烈な批判の言葉も飛び出しています。 怒りが収まったら個人批判を抜きにしての政治論・野球論を著して欲しいものです。これだけの経歴の持ち主達なのですから、きっとスターでもなんでもない、我々一般人にとっては励みとなる本になると思います。