慈悲という現代の日本人には、馴染み深いが、体感しづらい言葉の背後に、ひっそりとだが巨大な哲学宇宙が聳えていることに心を打たれました。この哲学宇宙こそが、古代の昔より世の東西を問わずあらゆる人々が求め続けた真理の法、哲学体系、宇宙と自我の表現であり、この、私達を真理の獲得へと向かわせる力の源こそは、宇宙を織り成している知識である、慈悲という言葉に表現されている。ことを、巨大な知性の哲学者、故、中村元先生もご自身の哲学の徒としてのあらゆる真理を追い求め続けた結果として、仰りたかったのではないか、との感想を抱きました。この本は、古代より現代までの、ありとあらゆる思想や哲学を縦横無尽に駆け巡りそれらを全て繋げ更により高い境地から中村元先生が纏められた、現代のお経であると信じております。知識とは何か、知性とは、哲学とは、愛とは、救済とは、世の中のありとあらゆる言葉が慈悲には込められているのだと深く感動いたしました。ぜひ、21世紀以降の未来の皆様に読んで頂きたいとお薦めいたします。