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感染地図―歴史を変えた未知の病原体
 
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感染地図―歴史を変えた未知の病原体 [単行本]

スティーヴン・ジョンソン , 矢野 真千子
5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

「読売新聞」「朝日新聞」「日経新聞」「週刊文春」「SPA!」に続々と、書評掲載!

150年前のロンドンを「見えない敵」が襲った! 大疫病禍の感染源究明に挑む「壮大な実験」と「壮絶な闘い」は、やがて独創的な「地図」に結実していく……恐怖や惨劇のなかで進むスリルあふれる探偵劇から、公衆衛生の概念の転換点と、現代都市が抱える共通の問題を多面的に検証する話題作!
コレラ菌が微生物として正体を現す30年前に、大都市が襲われた脅威! 19世紀半ばのヴィクトリア時代。感染症の原因が微生物だという概念がまだなかったころ、コレラがグローバル化した交易網に乗ってやってきて、世界最大の大都会に成長していたロンドンの水源に入りこんだ。そう、このころのコレラは原因も治療法もわからない致死的な新興感染症だったのだ。

内容(「BOOK」データベースより)

150年前のロンドンを見えない敵が襲った!大疫病禍の感染源究明に挑む「壮大な実験」と「壮絶な闘い」はやがて独創的な「地図」に結実していく。恐怖や惨劇のなかで進むスリルあふれる探偵劇から、公衆衛生の概念の転換点と、現代都市が抱える共通の問題を多面的に検証する話題作。

登録情報

  • 単行本: 299ページ
  • 出版社: 河出書房新社 (2007/12/11)
  • ISBN-10: 4309252184
  • ISBN-13: 978-4309252186
  • 発売日: 2007/12/11
  • 商品の寸法: 19 x 13.8 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.8  レビューをすべて見る (4件のカスタマーレビュー)
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19 人中、18人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By MM
形式:単行本
米国の人気コラムニストによる書の邦訳版。1854年夏にロンドンで大発生した疫病の原因を、地道な観察によって明らかにした医師スノーと副牧師ホワイトヘッドの偉業(特に前者について)を、過去の記録文書に基づいたドキュメンタリータッチで紹介した書。原因不明の疫病コレラについて、細菌の存在さえわかっていなかった時代、疫病が汚染された空気によって伝搬すると信じられていたが、観察によってこの説が怪しいと直感したスノーが独自の観察と調査によって、特定の井戸が原因であることを突き止める。本文約270ページの分量で中高生以上が数時間〜数日かけて読むべき内容。

本書には疫学の基本的な考え方、疫病についての知識や科学リテラシーに関する重要な教訓が多く詰め込まれている。偉人物語というよりも、短絡的な思考に走る現代人への警鐘にようにも感じられた。医師スノーのすごい点は、19 世紀の医学にとっては悪魔の所業に帰結する短絡的な思考がはびこってもおかしくない、全く原因不明の疫病が蔓延している状況において理性的な調査と思考を停止しなかったことにつきる。途中に登場する彼への批判や無視に対する著者の意見は、逆の意味で似非科学を信仰する者が多い現代社会へのアンチテーゼであろう。本書の大半はコレラが流行した数日間についての記載であるが、いい推理小説は結末がわかっていても読み応えがあるのと似ているかもしれない。

本書の難点は、ドキュメンタリーのような構成になってはいるが、過去の文書をまとめた著者が主観的な意見や脚色を大幅に盛り込まれている点である。例えば、同時期に調査を行った公衆衛生局長の広範な調査内容について、本著者は『真実を見いだすのは困難』とし、井戸の調査のみを行ったスノーの調査をすばらしいとしているが、疫学の基本から考えて前者の方法の方が適切であるように思える(もしスノーの説以外に原因があった場合にも有用である)。しかし、本著者は前者が空気伝搬説を支持してスノーに批判的であったことを挙げ、この局長の方法が全く的を射ていないと糾弾している。他にも著者自身の思い入れの強い事柄を事実以上に強調している部分が多く、純粋なドキュメンタリーとして理解するのは危険かもしれない。また、このせいで、書全体がやや冗長となり、読破した爽快感はさほどではない。

上記問題点を考慮して星4つの評価も、万人に積極的に推奨するにはもう一歩と感じた。
このレビューは参考になりましたか?
17 人中、15人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By 某S氏
形式:単行本
新聞の書評を見て「エピデミック」と共に購入。

この物語には、致死的な細菌と、急成長する都市、そして天賦の才を持った二人の男という四つの主役が登場する。百五十年前のある一週間、底知れぬ恐怖と苦痛に見舞われたロンドン、ソーホーにあるブロード・ストリートで、この四つの主役たちは交差した。
―― 『感染地図』の「はじめに」より

と言うことで、1848年にロンドンの下町であるソーホーにあるブロード・ストリート−急成長する都市−で大発生したコレラ−致死的な細菌−の感染源を“天賦の才を持った二人の男”こと医師ジョン・スノーと牧師ヘンリー・ホワイトヘッドが画期的な統計調査で感染源を特定しついにはコレラのていくスリリングな“探偵”物語。

当時は最近やウイルスと言う概念はなく「瘴気説」という「悪い空気が病気の元」と言う説が主流だったが、ブロード・ストリートで発生したコレラをに関する情報を徹底的に収集し調べるうちにジョン・スノーは奇妙な点に気付く

・発生地区のど真ん中にあって死者が出ていないビール工場。
・三方がコレラ死亡者の家屋で囲まれていたにも係わらず、ブロード・ストリートの共同井戸ではなく市の給水と院内の井戸水を使用していたので救貧院での死者が535人中わずか5人だけだった例。
・コレラで死亡した弟の家へ来てブロード・ストリートの共同井戸の水を飲んだ兄が、翌日の夕刻に発病した例。
・ブロード・ストリートの共同井戸の水を送って貰っていた郊外の一家のコレラによる死。

そこから導かれる答えは当時としては非常に画期的なブロード・ストリートの共同井戸による「飲料水感染説」でした。
仮説を立てたスノーは立証の為にブロード・ストリートの牧師ヘンリー・ホワイトヘッドの協力を得て、まず一軒一軒の家を訪ね死亡者の発生場所を地図上に記入し、彼らの行動をつぶさに調べていくと“死者の声なき声”はブロード・ストリートの一点を指していた。
次の週、スノーとホワイトヘッドは委員会に井戸の閉鎖を提案し多数決で認められ、ブロード・ストリートで猛威を振るったコレラは収束へと向かっていくのだった。

その後の追跡調査でもコレラ感染者はこの井戸を飲用していたことが判明し汚染源が完全に特定される。
井戸のすぐ側の隣家地下の汚物溜から汚物が井戸に混入していたのだった。
「コレラは飲み水に潜んで人にうつる」かくしてスノーとホワイトヘッドは現代に通用する「疫学」の始祖となった。

コッホが病原体としてのコレラ菌を発見する35年も前に、細菌学や顕微鏡など何も効果的な武器のなかった時代に、ただ唯一の足と頭と言う武器だけで感染源を特定し、「瘴気説」と言う世の中の常識と未知の致死的な病気と戦った偉大なる先人たちの記録。

「スノーをよく知る人はみな、彼がどんな犠牲も危険もかえりみず調査を続ける男かを知っている。コレラがいるところ、つねにスノーありだった」
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8 人中、7人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By miyajee
形式:単行本
社会が瘴気説(病気の原因は“におい”だとする説)に凝り固まっていた時代に、おそろしく地道な作業によって、コレラの伝播は井戸水が原因だと指摘した医師ジョン・スノーと教区牧師ホワイトヘッドの物語です。1854年のロンドンにおけるコレラ伝染における彼らの努力を述べたのが本書です。

スノーはどの家がどこの水道会社の水を使っているか、不潔で伝染病患者が溢れるロンドンの街で、一軒一軒尋ねて聞き込み調査をしました。

そもそも井戸水が原因だと誰も思っていない状態で、死の街で聞き込みをしたのです。その努力に対しては心の底から尊敬します。スノーはすでにこの時代、麻酔医として成功者の地位にあったのに、自分は安全な高みにいて知らん顔をするのではなく、現場で徹底的に調査をしたのですから。こういう人たちのおかげで、医学は発達してきたのだということがよく分かる本です。

そしてさらにいえば、そのおかげで、そのままなら人間にとっても環境にとっても悪影響が重くのしかかるはずだった都市での生活が、一転して健康を伸長させる場所となったのです。つまり都市の生活者のほうが医療機会が豊富で、かつ、女性に就業機会が与えられ土地の値段が高いことから、人口の抑制が行われるということです。

著者は都市化の流れを「人間にとっても環境にとっても不健康に向かう流れだ。だが、それを克服して転換に成功した国は、その転換期に膨大な犠牲を出しながらも、現在は地球上で最も豊かで長生きできる場所となったのだ。」とまで述べています。

そしてその転換の舵取りは、1854年のこのコレラの発生と終息に向けた努力の結果においてなされた、という主張はとても面白いですね。

なお、これらの課題が克服できていない途上国の大都市においては、19世紀のロンドンの悲劇が再び起こる可能性があることを著者は指摘しております。
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