哲学というと難しいというのが定説ですが、哲学なき経営に自分自身の大半の時間をつぎ込む会社生活に絶えられますか? という問いかけを考えさせらてくれる内容の濃い一冊だと実感しました。
その難しい哲学を、簡単に紹介しようとの哲学論の学習書として、また「感性」を経営に活用することの大切さを学ぶこともできます。感性には、いわゆる「勘」も含まれます。成功した経営者の方々も引退の際などに、「勘が良かった」とか「運が良かった」いう言葉を語られます。その背景には、ビジネスの分岐点で、同じ情報を入手したライバルとの差異を、自身に蓄積された経験も加えた上での「勘による判断だった」と表現されることが、たびたびあります。
先に述べましたが、哲学とは難解で難しいものであり、経営哲学を感性で語るのは、解答なき難問となりますが、それをシンプルに表現する試みが、著者の「○△□の経営」論です。書家の相田みつおさんも、「○(まる)」を書にする難しさを語られていますが、シンプルにすることは自らの得意分野を卓越した結果を表現したものと考えられます。本書にも、「仙涯和尚の○△□」が紹介されていますが、悟りを啓いた高僧が辿りついたシンプル表現だと、私自身も大好きな書であります。
企業経営に携わり、自己の経営哲学に悩まれる経営者の方々、また、過去の経営哲学を時代に適した経営哲学にと考えている経営者の方々に、是非とも一読して参考にすべき書として推薦できる「哲学」学習書です。
感性論哲学からのアプローチの具体例が、室井俊二さんの板室温泉大黒屋ですが、私自身は残念ながら訪問したことがございません。宿泊経験のある栃木在住の友人に伺ったところ、もう一度行きたくなる何かがあるそうです。その何かが経営哲学における「感性」なのでしょうか。