この作者の本は「てなもんや留学記」から2冊目。この本は何に分類されるのだろう。観光ガイドではないし、社会派ルポルタージュでもない。万里の長城や北京ダックや上海万博は登場せず、著者が訪ねているのはディープな観光地。本の帯には「軽妙な文章と美しい写真でレポート」とあるが、表紙を除けばすべて写真は白黒で、上質紙の写真ページは一つもない。文章は、悪文が散見された「留学記」より上達している。「感動」は違うな。しいて言うなら「虚実中国!」かな。
「てなもんや観光記」として、お定まりコースをはずれた中国観光リピーターのためのガイドとしては面白いし役に立つかもしれない。一国を一冊の本で表すことは不可能で、一冊を貫く切り口が必要なはず。ましてそれが人口13億の国ならなおのこと。そして、レポートすることで現れるのは著者の姿ということになる。著者は中国と中国人が好きなのか嫌いなのか、いやどこが好きでどこが嫌いなのか。
友の病が思わしくない知らせを受け、涙を流しているのにインチキ坊主がたかりに来るくだりは泣ける。しかし、「感動」じゃないだろう。