一般人、しかも文系の私には越えられない壁と思っていた自然科学のムズカシそうなあれこれに、
くだらない(すみません)たとえ話と気取らない語り口調で楽しく親しめました。
物理学者はみんなSF作家か?と思うほど、科学がファンタジックでロマンに溢れたものだと知りました。
私はいわゆる文系の院生なのですが、
理系の学生に「文系は答えの出ないものを相手にしてるから大変だね」と
尊敬とも同情ともつかない眼差しを向けられることが多々あります。
でも、宇宙や電子を相手取ってる人たちの方がよっぽど答えの出ない問題をずーっと考えていて、
しかも仮説がものすごい自由。読み進めるうちに、文理の壁が霞んでいき、
研究に行き詰っていた私の頭も何だか霧が晴れたようになりました。
因みに、帯にもあるように本文中のたとえは本当に「バカバカしい」です(すみませ(ry)。
しかもどちらかというと男性向けの話が多いので、
女性読者はたとえがバカバカしいのか男性が日々考えていることがバカバカしいのか、
まぁ両方なのか、という気持ちになると思います(再度すみま(ry)。
でもそう思いながらも読み終える頃には、相対性理論や量子論に対して
更なる疑問が湧いていることに気付き、本当に驚きました。
対象を全く知り得なければ、質問なんて出てこないですから。
遠い存在だったそれらが実は身近に触れているものだったと知るとともに、
限られた紙面で前提知識ゼロの人間をここまで虜にできる筆者の筆力に感服しました。
余談ですが、今は文系専門職のありえないほど低い就職率に恐れ戦きながら学生をしている私ですが、
こんな本に中学生の時に出会っていたら、私はきっと理系を目指してたでしょう。
遅すぎる出会いを悔やみましたが、仮に物理学を専攻していてもいずれにせよ答えが出ない問いに頭を悩ませているか、
就職難にあえいでいなかったとしても、それは違う世界の私が経験する栄華だということに気付きました。
これは私の理解ではChapter 5「量子論」で説明されている「重ね合わせの多世界解釈」に該当しますが
読んでいるうちに内容を追体験できるくらい、理解しやすい本です。
文理の壁も、時間も空間も超えたいあなたにおすすめです。