ペットの手作り食について関心があれば、最近ではだいたい須崎恭彦や本村伸子を読んでいるかもしれない。
両者とも獣医師であることが素人からみると安心感がある。
同じ獣医師が書いたというこの本を読んで一番びっくりしたのは、手作り食をすると痩せたり命が危なくなる犬種がある、ということをはっきり書いてあることである。
著者自身が試行錯誤を繰り返しながら積み上げた、具体的な事実を隠さず網羅しており、圧巻だ。
たんなる「手作り食万歳」ではなく、病状にからんだ食材や栄養素を冷静に検証している姿勢に好感がもてる。
これは病院を持ち、日々現場で臨床をつみあげる経験をもつ医師でないと明言できない極めつけの事実だろう。
前者の2名の獣医師は自分の病院をもっていない。
つまり提唱した食事に不具合がどのように生じているかを医学的に確認するすべを持たないことになる。
飼い主は状態が良くない場合にはかかりつけの獣医と併用していくしかないことになる。
本の帯にある、800のカルテから・・というフレーズはたぶんこの2名を意識した上であえて使ったのではないかと思われる。
表紙を見ると今流行のおしゃれな手作り食の提言かと思うが、中身は非常にストイックである。
難しい血液検査の値などもどんどん出てくるので、ゆるいところで
手作り食をやっている飼い主は、一度こういった内容を読んでおくのは、決して時間の無駄にはならないと思った。
また手作り食で痩せていくワンコと暮らしている飼い主が身近にいたら、教えてあげたい本でもある。
どこに的を絞って手作り食をすすめていくのかを、読者自身が自分で考え、犬をよく観察し、実践していくためにも、読んでおいて損はない一冊である。