日本と台湾を舞台に、母子三代にわたる物語を巧みに織り交ぜながら、母と娘の愛憎をはっきりと浮かび上がらせた力作。過去と現代を『ゴッドファーザーPART2』のように行き来しつつ、娘は父の遺骨を探すという行為を通じて母と父の馴れ初めを知り、母を理解しようとする。母もまた、異常なまでに愛を乞うひとだったのだと。
娘はあれだけ母に執拗に虐待され、耐え切れず家出するほどの苦痛に苛まれてもなお、「髪を梳くのを褒めてもらった時嬉しかった。かわいいと言って欲しかった」と言う。DV男に殴られる女性も同じようなことを言う時がある。本当に愛されるということを知らないと、一時の優しさに救いを見出そうとするのかもしれない。
いずれにせよ、人は生まれて、まず愛されなければならない。親という、自分という存在を担保し、守ってくれる人が愛してくれなかったら、愛され方を知らないまま人は愛することを模索しなければならない。劇中母になった娘が、自分の娘に初めて手を上げた時の虚ろな表情が、今も目に焼きついている。
それにしても、修羅のような鬼母と、自分はそうはなるまいという意志がたぎった娘の二役を演じ切った原田美枝子の独壇場のような映画だった。初めのうちはあまりのギャップに、二役やってるのが気が付かないほどだった。