まず、訳がいい!すばらしいテンポとさらっと流れる会話に、乾杯なのです。ありがとう、後藤さん!
この物語は、悪魔公爵と称されるエイヴォン公が、執念深くも大いなる罠を仕掛け、サンヴィール伯を追い詰めるというもの。そこになくてはならないのが、ヒロインのレオニー。というか、レオニーを見た瞬間から恐らく、エイヴォン公の頭の中では全てが整ったにちがいありません!すごいぞー、こわいぞー、エイヴォン公。ここまでくると、悪魔というより、神々しい…(笑)隠されに隠された秘密を一瞬で見抜き、全てを操る、ひどい男(笑)。
究極の、貴族。
そして、究極の、ヒーローと呼べましょう。
こんなヒーロー、初めて見た(大笑)。
この鬼のように非情で傲慢で怜悧で優雅な伊達男(40歳を超えております)に文字通り子犬のようにじゃれつき崇拝するのが、はじめ小姓扱いされていたレオニー(19歳)。このヒロインのすさまじいところは、エイヴォン公を崇め奉っているところ。彼女が敬うのは、エイヴォン公だけ。その他の人々は何ともゾンザイな扱いを受けます。だけど、あまりにも純真で一途なものだから、この一風変わったヒロインはみんなに愛されていくのです。
そして始まる、エイヴォン公の改心と復讐劇。そして天真爛漫レオニーによる、感化劇。
これぞ究極の二本立て。
冒頭で男装のレオニーがエイヴォン公にぶつかるところから、終幕の大団円まで、興奮しながら一気に読んでしまいました(笑)
すばらしいです。
しかし、全てを操るエイヴォン公がすごいのか、そのエイヴォン公を魅了するレオニーがすごいのか…。
どうなのかしらん?
ジョージェット・ヘイヤーの物語は、何と言っても、会話の滑らかさと美しさとユニークさ!
何気なく入る会話の、無駄のないことといったら!
不要な台詞がありません。台詞のひとつひとつが、確実に登場人物たちの個性を彩っていきます。
リシュリュー閣下やコンデ公、ルイ十五世も登場し、歴史的位置づけもばっちり。
何度読み返しても、うっとりします。
究極のロマンスって、すばらしいですね!