《危険な香りの男たち》シリーズ第4弾。
ヒロインは、第2弾『情熱のプレリュード』で活躍したニコラスの異母妹、レイヴン。
彼女は、第3弾『とこしえの愛はカノン』でも主人公ブリンの頼れる友人として活躍しますが、
今作品は前作の事件等とは関係ない独立したストーリーなので、前2作品を読んでいなくても問題なく楽しめます。
ヒーローのケルは前3作のヒーローとは違い、“ヘルファイア・リーグ”のメンバーではありません。
身分も平民で、賭博場の経営者です。
悪名は高いものの、実は道義心や責任感が強く誠実な性格で、困った人や虐げられた人をほうっておけないがゆえに
レイヴンとも関わることになります。
物語はレイヴンの結婚式当日の朝から始まり、覆面の男たちによる誘拐、媚薬を飲まされ監禁、ケルとの官能の一夜、
スキャンダルを防ぐための便宜結婚…と、まさに怒涛の勢いで展開します。
読みどころは「相手を愛してはいけない」「相手に近づきすぎてはいけない」「だから肉体関係も避けなければ…」と
相手の強烈な性的魅力に懸命に抗う、レイヴンとケルの禁欲的な結婚生活。
官能的な描写に定評のある筆者だけに、互いに欲求不満で悶々とする場面、特にレイヴンの妄想シーン
(彼女には「海賊」と名付けた「夢のなかの恋人」がいて、夢のなかで逢瀬を楽しんでいるのだ)は最高にセクシーです。
もうひとつの読みどころが、レイヴンの本来の結婚相手、ハルフォード公爵 チャールズ。
第2弾、第3弾ではヒロインたちに嫌われ、わたしも「こいつは絶対に冷酷非情な極悪人に違いない」と思い込んでいたのですが、
今回はそんな彼の隠れた人間性が明らかになります。………かなり、胸キュンです。
次作に出番があるのかはわかりませんが、できれば彼には本当にしあわせになってほしいです。
さて、便宜結婚し、禁欲結婚を続けるレイブンとケルですが、なかなか本物の結婚や恋愛関係には発展しません。
2人とも生い立ちに問題があり、家族の問題を抱えている上に、母親との誓いにも縛られているからです。
互いにどうしようもないほど惹かれあいながら、相手を愛したくないとあがく2人。
本当にどうしようもなくなって、ついにベッドをともにするようになっても、
「わたしたちにあるのは肉体関係だけ」「色恋で道を誤りたくない」「愛に興味はない」と自分の本心から目をそらす2人。
このあたりの展開はせつなく、じれったく、もどかしく、胸がつまります。
ハッピーエンドに至るまでの道はなかなかに険しく、2人がしがらみから解放され、愛を実らせるまでにはつらい事件も起こりますが、
困難を乗り越えたあとのレイブンとケルは本当にしあわせそうで、エピローグはかなりイイ感じです。
第1弾からずっとレギュラー出演しているウォルヴァ―トン侯爵“快楽のプリンス”デアは、今回も登場。
レイヴンのみならず、ケルからも信頼を得て、作中で大活躍します。
第5弾では、ついに彼が主人公。はたしてどんな運命が待ち受けているのか、いまから読むのが楽しみです。