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5つ星のうち 5.0
映画史上最長のプロローグ、それは奇蹟までのカウントダウン。, 2010/3/31
レビュー対象商品: 愛のむきだし [DVD] (DVD)
映画史上最長のプロローグ、それは奇蹟までのカウントダウン。
「まさにマリア、僕は一瞬で恋をした」のセリフで始まるこの壮絶な愛の物語は、
映画の常識を覆すタイミングで表示されるタイトルバックを経て、
そして、そこから一気に加速していく
プロローグに要した時間はなんと1時間。
プロローグ終盤は延々とボレロが流れる中、主要人物の群像がある1点へと集約されていく。
そして奇蹟が起こり、タイトルバック。
衝撃が走る。
何ぃ!まだ始まってもいなかったのかっ!?
ここから連なるモノローグのバトンリレーが実に痛快だ。
そして奇蹟の出会いが「勃起」を呼び、それはまさしく「愛」なのであった。
ここまで1時間半・・・真の物語はこの辺から本当に始まる!!!
怒涛の237分はあっという間などという平凡な表現とは一線を画す至福の時間。
約4時間の長尺を短く感じた!のではない。4時間は4時間だったが、もっと観たかったのだ。
終わらないで欲しかったのである。
この作品には6時間バージョンもあるとの話だが、できれば初見でそちらを観たかった。
と、感じさせる何かがある。
主役3人の驚異的表現力に魅了され、
先の読めないストーリー展開に魅了され、
B級感溢れる本格B級演出(←ホメてます)と
陳腐な絵作り(←ゆるやかにホメてます)と
随所に出現する美しすぎるシーン(←もちろんホメてます)の強弱に魅了され、
繰り返され続けるBGMに脳を刺激され、
そして、何よりも怒涛の愛に涙する。
いかレスラーから始まるファントムフィルムの系譜を受け継ぎながら、
楽々と過去作品を凌駕してしまった遺伝子異常的破天荒映画であると共に、
勃起=愛という普遍原則を強引にも鑑賞者に刷り込み、
これから僕達も勃起を恥じない正しい人間であり続けようという幻想をも抱かせてしまいそうになる本作は、
間違いなく傑作なのである。
《蛇足》
満島ひかり、感動の長台詞。新約聖書コリント使徒への手紙第十三章。
最高の道である愛。
たとえ、人間の不思議な言葉、天使の不思議な言葉を話しても、
愛がなければ私は鳴る銅鑼、響くシンバル。
たとえ、予言の賜物があり、あらゆる神秘、あらゆる知識に通じていても、
愛がなければ私は何物でもない。
たとえ、全財産を貧しい人に分け与え、
たとえ、称賛を受ける為に自分の身を引き渡しても、
愛がなければ私には何の益にもならない。愛は寛容なもの。
慈悲深いものは愛。
愛は妬まず高ぶらず誇らない。
見苦しい振る舞いをせず、自分の利益を求めず、怒らず、人の悪事を数えたてない。
愛は決して滅び去ることはない。
予言の賜物なら廃りもしよう。
不思議な言葉ならば止みもしよう。
知識ならば無用となりもしよう。
我々が知るのは一部分、また予言するのも一部分である故に、
完全なものが到来するときには、部分的なものは廃れさる。
私は幼い子供であった時、幼い子供のように語り、
幼い子供のように考え、幼い子供のように思いを巡らした。
ただ、一人前の者になった時、幼い子供のことは止めにした。
我々が今見ているのは、ぼんやりと鏡に映っているもの。
その時に見るのは顔と顔を合わせてのもの。
私が今知っているのは一部分。
その時には自分が既に完全に知られているように、私は完全に知るようになる。
だから引き続き残るのは信仰、希望、愛、この三つ。
このうち最も優れているのは、愛。
BGMはベートーベン交響曲第7番第2楽章。
そう、奇しくもあの「のだめ」のオープニングテーマと同一曲(ちなみにのだめは第1楽章)。
さて、カラヤン&ベルリンフィルの名演がyoutubeに落ちているので、
これを聴きながら上の愛の賛歌を絶叫してみましょう。
園監督が最も伝えたかったのはこの曲とこのフレーズだということが実感できることでしょう。
そのための4時間だったのです。
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5つ星のうち 4.0
好き嫌いは分かれるかも, 2010/5/3
レビュー対象商品: 愛のむきだし [DVD] (DVD)
3時間57分と確かに長いが、それなりの吸引力はある。特に前半(Disc1)は展開もスピーディーで、次々に出てくる一癖も二癖もある登場人物たちに引きつけられた。一つには西島隆弘の嫌みのない演技が大きい。イケメン俳優にありがちな気取りが感じられないので、癇に障るということもない。そしてもう一つ、満島ひかりの登場で勝負は決まった。単なるアイドル崩れには決して出せないオーラがあり、まさにユウにとっての「マリア様」である。「デスノート」や「少林少女」ではノー・チェックだった自分の見る目のなさが情けない。
後半(Disc2)になるとやや失速。ヨーコを拉致してマインドコントロールを解こうとする場面やユウが宗教団体ゼロに乗り込んで洗脳されたように見せかけてヨーコを探す場面は冗長という気がしないでもない。
あれこれ盛り込んだ社会性のあるテーマを消化できたかどうかは微妙なところだが、ラストに関しては個人的に満足。4時間近く付き合って西島隆弘と満島ひかりに惚れ込んでしまったので、めでたし、めでたしで幸せな気分になることができた。
キャストについても、渡部篤郎を除いて頻繁にテレビで見る顔ぶれでなかったことも独特の世界を築くことに成功した一因。安藤サクラも妙な色気があって魅力的だった。園子温監督の作品は初めて見たが、次回は直球勝負の作品を見てみたいものだ。
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5つ星のうち 5.0
安藤サクラの怖ろしさ, 2010/8/3
レビュー対象商品: 愛のむきだし [DVD] (DVD)
夕方、16時くらいから鑑賞したが、見終わったのが、
20時くらい。すっかり暗くなり、ほぼ脱力して放心状態が続いた。
みなさん、書かれているが、4時間という時間を感じさせないくらい、
テンポが良く、前半と後半でリズムも変わる。
主演の西島隆弘、満島ひかりとも、素晴らしい才能だと思うが、
特に驚いたのは、奥田瑛二と安藤和津の娘、安藤サクラ。
憑かれたような気味の悪い演技は、若手では傑出している。
正直、胸糞悪くなり、吐き気がするほど、気味が悪かった。もちろん、良い意味で。
本当にひたすらB級映画路線を猪突猛進していくが、
『愛のむきだし』というタイトルそのままに、
まったくブレることのない、ひたむきで、むきだしの愛に、
完全に打ちのめされる。
私は友人とこの映画を観たが、友人は敬虔なカトリック教徒であるため、
かなり複雑な感情を抱いたようである。
私は素直にこの映画に好感を抱いたが、友人はテーマの深さや
コリント使徒への手紙の引用に同意はしながらも、
この引用は他の映画などでも頻繁に用いられるといって、
安易な引用は辞めて欲しいと言っていたが、カトリック教徒ではない私には
何ともわからない。
私もあの長回しのシーン自体は見応えがあると思うが、
台詞というか、あの節の意味内容自体には、
共感はするが、深く同意するわけではない。
とはいえ、そんなことは些細なことで、私にとっては、忘れがたい映画となったが、
ちょっと他の人には安易に薦めがたい。そういうわけで、
この映画を観て、共感する人が多かったり、
ベルリンで賞をもらったりしているのが、不思議というか、
すげーな、と素直に思う。