確かに4時間見終わった後 「あ 面白かったかも? ちょっと感動したかも?」と思う自分がいる。
でもなんなんだこのもやもやした気持ちは・・・・
面白いか面白くないかの二元論で考えれば面白かった。
でもちょっと待って欲しい。
なんだかだまされている気がする。特に脚本だ
コメディの要素も多いので多くは目をつぶるとしても・・・・。
「盗撮」というものを自分の罪として父に愛情をぶつける主人公。
これは明らかにベクトルが前に向いていて馬鹿馬鹿しくて良いのだが
後半それを全否定する。あれだけ盗撮というものを前半のテーマにしておきながら
それがまったく活きてこない 「ただの変態」 にされてはたまらない。
「盗撮」というテーマが まったく後半効いてこない。
安藤サクラも狂言回しのようだが、全く意味不明である。 神父家族を自分たちの宗教に引き入れれば
勧誘が有利に進めると言っていたが、そんなシーンは出てこない。
何のために主人公を破滅させようとするのか、その動機がないのである。
怖いことは怖いが 理由がないので見ているほうはちんぷんかんぷんである。
唯一の理由は「あなたに対して興味があるの」 なんじゃそりゃ。
復讐すべきは自分に対して性暴力を働いた社会に対してであり 個人にではない。
満島ひかりが聖書のくだりを読むシーンは迫力があり、これも「なんとなく感動する」のだが
彼女は新興宗教に洗脳されている状態でこの重要な言葉を言い放っているのだ 説得力がない。
明らかに「悪」の香りのする新興宗教にハマっている状態でのこの聖書の言葉は、完全に小道具になってしまっている。
本当の「愛」というものを理解していないヒロインが「一番尊いものは愛」といってのける。このクライマックスとも呼べる重要なシーンが
お飾りになってしまっているのだ。長台詞でアップで美しい満島ひかりの言葉、衝撃はあるのだが ただ単に聖書の引用に過ぎず
聖書のこの尊い言葉が ヒロインの自己矛盾となるだけで、意味をなしていないのだ。
愚直に愛を貫いているのは、むしろ主人公のユウのほうであり、
これは主人公が言うべき台詞ではないのか?
監禁のシーンでも結局得られるものはなにもなく だらだらと時間だけが過ぎていく。
後半30分になっていきなりヒロインが主人公の愛に気がつきそこから純愛ストーリーになるのだが
もうここまで行ったら見ているほうも「こんなに付き合ったんだからハッピーエンドにしてくれよおお」状態であるので
素直に感動してしまう。 でも おかしくないですか? あのタイミングで愛に気がつくなんて。
結局最後の無理矢理なまとめのために細かいエピソードをつなぎ合わせているのだけれど、それらはほとんど意味をなしてない。
この映画は「サルでもわかる漫画教室」の中で、竹熊健太郎のいう「ヒットする漫画」のような物がちりばめられている。
すなわち アクション パンチラ ぼっきーん 特訓 ラブコメ バイオレンス ウンチク .....etc..
それらに惑わされ 「ああ 面白かったな」と思ってしまう。
エンタメとしてはよくできている。 でもなんとなくもやもやした気持ちになるのは何故か。
監督が観客に対し、「好奇心をそそる」ネタ(新興宗教、大量の血 不条理 レズビアン 性暴行 エログロ そして純愛・・・)をばらまき
「お前らこういうの好きなんだろ?」と言われているような気がしてならないのですよ。
スラップスティックなコメディ、B級風味のエログロお馬鹿映画ならそれでいい。 でも最後の無理のある純愛ストーリーの大転換に
「小ズルさ」を感じてしまう。
だから面白かったけど なんだか面白くない!(笑)役者さんはすばらしかった! これだけは確か!