約25頁。たったそれだけの短い文章の中に、誰もが辿り着けるようで辿り着けない本物の愛の意味が存在していました。
二組の若い夫婦が家で、ジンを酌み合いながら互いの恋愛、結婚経験を語りあいます。ある種劇的なその互いの話の中で最期に登場する、ある老夫婦の出来事。その愛の深さは、普遍的であり、恒常的できであり、この世における真実が何気ない日常の中で誰にも気づかれずひっそりと存在しています。この尊さは、誰にでも到達できるものではありません。その日常に埋もれる尊さを、刃のような洞察力で切り抜き、しかしさわやかさで流してしまう作者の才能に感動しました。
お風呂の中でこの短編を読みながら、沸き上がるしぶきのような自分の涙に驚きました。まるで、私の心がカーヴァーの刃によって、さわやかに切り取られたようでした。
忘れられない経験を、カーヴァーによってさせられました。