素晴らしい作品だ。渡部篤郎も広末涼子もそれぞれ最高の演技を披露しているし、堤幸彦の演出、龍居由佳里の脚本もドラマの枠を超えている。脇を固める藤原竜也の存在も光る。
出生に悲劇があり(それがどの様なものだったのかは結局はっきりとは明かされない)、人間を信じない一つの孤独な魂が、愛によって救済される話はよくある展開ではあるのだが、堤-龍居コンビの手にかかるとそれは他に類するものがない作品に昇華してしまう。
所々にストツプモーションを効果的に挟み込みこむ絶品とも云うべきカメラワークは、凡百のドラマとは截然と違っている。
盲目の亜子(広末)の生き別れの兄と偽り近づいたレイジ(渡部)が、亜子に嘘がばれたと知った後に、夜の庭で目を閉じて亜子を探す。その後二人が手を握り合うシーンでのそのアングル!
センターよりやや右に手を取り合う渡部と広末を配し、そのバックに風に揺れる木々を映し出し二人の心象を象徴化させた演出は、この作品のハイライト・シーンであると思う。「やっと見えたの、本当の自分の心。今まで見ようとして見えなかった自分が・・・見えたの」と告げて立ち去る広末を見送った渡部がつぶやく「亜子・・・俺には俺が見えないよ・・・」
視聴率的には不振だった作品だが、演出・脚本・演技共間然とするところのない傑作であったと思う。