この本は、著者が中国人の性文化を豊富な資料に基づき古代から現在まで整理して書かれた労作です。
「はじめに」に書いておられる、《中国という巨大な国と、その中で暮らしている人々を徹底的に理解しようとすれば、うわべに表れた政治、社会、文学、芸術など「表」の文化だけを見ているのではあまりにも物足りない。その底辺に蠢く男女関係からなる性、すなわち「裏」の文化までをも見つめることで、はじめて真の中国文化を立体的に理解することができるだろう》という言葉に共感します。
本編は、第一章 好色の伝統、第二章 英雄豪傑、好色の饗宴、第三章 中国のエロス文学と性表現、第四章 中国の歴史は夜に作られた、第五章 エロスの近代、第六章 中国・性文化革命の六章から成り、どの内容も興味深く読ませてもらいました。
第一章の「男色と男娼」では私の好きな韓国映画「霜花店」のモデルになった高麗王の事にも触れておられて、その出典を『高麗史』列伝三七巻と紹介しておられましたが、調べた所、「高麗史」(国書刊行会発行)所収の世家伝第三十九から四十四まででした。
(2010年12月19日編集)