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11 人中、11人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
恐るべき文学の勝利,
By かい - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫) (文庫)
久しぶりに本棚にあったこの本を読んでみて,作者が当時,そして現在も抱えている危機感を, 20年遅れてようやく共有できた気がした。 いまだにこの小説が80年代前半に書かれたこ とが信じられない。まるで今の日本を20年後の 歴史家が,当時を思い起こして描いたかのよう である。 例えば「グローバリゼーション」というコト バを使わずに,この現象が正確に描かれるので, 逆に本質がよくわかる気がする。 「現在」を映し出すように描かれた小説はい くらでもあるが,誰もみたことのない「未来」 を見てきたように正確に描いたこの小説は恐る べき文学である。
23 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
バブル崩壊以前に書かれたとは思えませんでした。,
By
レビュー対象商品: 愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫) (文庫)
順番は逆になりますが、「希望の国のエクソダス」以来久々に村上氏の小説を読みました。エンターテイメントとして本当に 楽しませていただいたというのが正直な感想です。 こちらの知識不十分のために、満喫とまでは行き着くことが 出来ませんでしたが、 ・世界経済の知識(近代の経済史) ・世界の近代史(特に明治大正昭和の日本の歴史) がしっかりとしていれば、☆5つ以上に楽しめる作品のように思います。 この小説がバブル崩壊以前に書かれていることや、 現在でさえも閉塞感や経済的半植民地状態が続いていることを 考えると改めて村上氏はすごいなと思います。 それからもう一つ分るのは、歴史をしっかり分析・研究すれば、 やはりある程度未来は予測出来るんだということでしょうか。
11 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
最高のエンターテインメント小説,
By アレン (博多) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 愛と幻想のファシズム(上) (講談社文庫) (文庫)
ご都合主義的にストーリーが進行してゆき、ただのハンターがカリスマになるのを不自然に思わせないのはさすがの筆力。コミック的な経済小説だが、細部が村上氏のおベンキョーによって強力に補完されているため、すんなりと現実感を感じて読める。 現実と虚構を入り交じらせてリアリティーを醸しだす手法は海外小説では「ジャッカルの日」などに見られたが、この手のジャンルとしては日本では嚆矢の部類に入るのではないだろうか? ありえたかも知れない過去、ありうるかも知れない未来を氏は好んで描く傾向にあるが、その意味でもこの作品は氏にとっても最初の作品であり、また転機でもあったと思う。 前期作品においてはやはり「ブルー」や「コインロッカー」を引きずっていて、ご本人も自らを「詩人」だと思っていたらしいが、今や「長編作家」であるとし、おベンキョーしては吐き出す大江健三郎的作家になってしまった感がある。 そして、氏にとってそういったタイプの最初の作品がこれだと思う。 それは村上氏が、大江氏と同じく社会経験なしに作家になってしまったが故の必然であり、今となっては殊更不自然でもないのだが、そのバイアスが作品にも大いに反映されている。 この作品でも氏の権力やシステムに対するある種のルサンチマンを嗅ぎとることは容易だが、その独特の英雄待望的傾向や反民主主義思想に対する興味深さをひとまず置くとしてもエンターテインメントとして秀逸であり、とても楽しめる作品である。 最も作者の分身に近いと思われる副主人公がファシズム体制について行けずに最後に自殺を遂げるところを見ると、案外作者も「民主的」かと安心させられるところもある。
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