自己への気づきを深め、ありのままの自分を思い出し、
受け入れるように暖かく手引きしてくれる至れり尽くせりの本です。
心理学の分野からスピリチュアルな部分、宗教的な
分野(その光と影)まで網羅しています。
ユング、アサジョーリ、スーフィーの逸話、
聖フランシスコ、エリック・バーン、アリス・ミラー(「魂の殺人」他)、
ジョン・ブラッドショー(「インナーチャイルド」他)、ナサニエル・ブランデン(「自信を育てる心理学」他)、
ジョーゼフ・キャンベル(「神話の力」からの紹介)などの内容や理論を散りばめながら、
読者を飽かせずに引っ張ってくれます。
それらの概要(一端)に触れるだけでも本書を手にする価値があると思います。
内容の豊かさ(秀逸さ)は特筆ものなのですが、各々の章末には「読者への提案」というまとめがあり、
論点を最後まで追えるよう配慮もされています。
本書は有名な書物からの引用や要約も多いですが、
著者自身が、「知恵」は魂を形成するので、引用し用いた各々の書物を読んで欲しいと勧めています。
自分が既に捨て去ってしまったり、日頃忘れがちな
インナーチャイルドとの人格的出会いを導く瞑想(イメージ)の文章が類書より抜きん出ているように私は思います。
著者は、もう一人の自分との対面と対話、チャイルドから豊かな感受性や、
宝物を手渡されるシーンまで導いてくれます。(本書383ページあたり)
そういう意味では、最後までじっくりと読み通した人だけが味わうことのできる感動、恩恵があります。
41ページに有名な逸話がのっています。
街灯の下でカギを探している男がいますが、
通行人が来て、親切にも一緒に捜してくれようとします。
「どの辺でなくしたんだね」と通行人は尋ねます。
男は通りのずっと向うの暗闇の方を指さしました。そこで通行人は不思議に思って質問をします。
「じゃ何だってこんな所で捜してるんだい」
男は答えます、
「こっちの方が明るいからね」
この意味は、罪悪感から解放され宝を発見するには、外の世界から自己の
内面の世界(今まで仕事などに熱中することで向き合うことを避けてきた自身の過去など)に
視点を移す必要があると著者は言っているようです。
それは、袋に押し込んだ(自分の)影だったり、
あなたが迎えに来るのを待っているチャイルドだったり…ということです。
やや気になるのは、400ページほどあるしっかりした本で、
引用部分や説明(要約)が時折、それが既知のことであっても、たいそう刺激的で感銘深いので、
(それらを紹介し始めると、長くなるので、省略させていただきます)
その部分に留まってしまい、全体の流れを見失ってしまうかもしれないという
ことです。
そういう意味では、一読の後、時間をおいて読み返すとか、
パラパラと読み飛ばし流れだけ思い返してみるとか…
工夫次第で読者の必要に応じ、多様な恩恵が得られる味わい深い本として、
おすすめさせていただきます。