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愛するものたちへ、別れのとき
 
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愛するものたちへ、別れのとき [単行本]

エドウィージ・ダンティカ , Edwidge Danticat , 佐川愛子
5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容紹介

アメリカの、ハイチ系気鋭作家が語る、母国の貧困と圧政に翻弄された少女時代。愛する父と伯父の生と死。そして、新しい生命の誕生。感動の家族愛の物語。

【全米批評家協会賞(自伝部門)受賞作!】

「私がこの本を書いたのは、大切な先祖たちと新しい生命とに敬意を表し、正義を要求し、世界中の移民たちの窮状に目を向けてもらうためでしたが、同時に私は、この本を読むことが読者の方々にとって喜びであるようにと願っています。皆さんはこの本のなかで、今まで知らなかったタイプの人びとに出会うでしょう。でも、東京に住んでいる人であってもポルトープランスに住んでいる人であっても、心のなかでは同じ深い感情や愛や喜びや苦しみを経験します。私はこれまでに皆さんの美しい国を二度訪れました。いま私は、この本で、皆さんを私の国にお連れし、私たちの喜びと苦しみを体験していただきたいと思います。私は、少女のころに伯母さんと早朝に歩いたあのコウォのように、みなさんとともにこの神聖な旅に出かけられることを嬉しく思います。みなさんがこの本を楽しんでくださることを心より願っています」
(「日本の読者への手紙」より)

内容(「BOOK」データベースより)

アメリカの、ハイチ系気鋭作家が語る、母国の貧困と圧政に翻弄された少女時代。愛する父と伯父の生と死。そして、新しい生命の誕生。感動の家族愛の物語。全米批評家協会賞(自伝部門)受賞作。

登録情報

  • 単行本: 288ページ
  • 出版社: 作品社 (2009/12/11)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4861822688
  • ISBN-13: 978-4861822681
  • 発売日: 2009/12/11
  • 商品の寸法: 19.4 x 13.4 x 3 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.7  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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家族の絆 2010/3/1
形式:単行本
ハイチで起きた地震の後、日本のマスコミでは一時期連日のように地震の状況が報道され、かの国の不安定な政情や貧困問題も取り上げられました。そこで私は、初めて名前しか知らなかったハイチという国の現状を耳にすることになりました。けれども、地震発生から日が経つにつれて他の事件事故に関心が移り、取り上げられることも少なくなってきています。日本で普通に暮らし日常に追われている私もご多分に漏れず、ハイチは遠い国、新聞やテレビでたまに記事を目にする存在になりつつありました。そんな頃、購読の登録をしていた書評のメルマガでたまたま献本読者書評の募集を目にし、本がもらえるならうれしいな〜なんて気軽な気持ちで応募したのが、本書と出会うきっかけとなりました。

治ることのない病に弱りつつある父の病状、そして著者に宿った新しい命、本書はこうした場面から始まります。けれど、物語は貧困ゆえに著者と弟を置いてアメリカへ行かざるを得なかった両親、そして残った彼らの世話を当然のように引き受けるもう一人の父である伯父とその一家との生活を軸にして、大国の思惑に翻弄され政情不安と貧困にあえぐハイチの現状を浮き彫りにしていきます。声高に主張するでもなく、強硬な意見を述べるでもなく、著者は家族に降りかかる災難や死、そして生まれ来る命を淡々と綴りながら、読者の心に語りかけているのです。読み始めてすぐにその優しい文章に引き込まれ、あっという間に読み終えてしまいました。

本書の根底にあるのは、貧困や差別に対する怒りではなく、家族に対する愛情と絆、そして何をも受け入れる強さなのかもしれません。著者のどんな苦難にも立ち向かえる強さは、家族の絆が育てたものなのでしょう。私とほとんど年齢も変わらないだろう著者の、そんな強さが少しうらやましくなりました。そして本書を読み終えた今、著者の母国の安定と復興を心から願ってやみません。
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5 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
本書を読んで、その意識の低さに本当に恥じ入ってしまった。著者の故郷であるハイチの現状を全く知らずにここまできてしまったのだから。著者の育ての親ともいえる、伯父さんが体験したハイチの不安定な政情から起きた動乱は、ルワンダのフツ族とツチ族の血みどろの抗争に起因した大虐殺を彷彿とさせる。しかもこのハイチの動乱は2004年に起きたことで、つい最近のことではないか・・・。自分はいったい何をしていたのだろう。その反面、それだけ日本が平和であるということにも感謝すべきなのだろうけれど、自分の料簡の狭さが嫌になる。

 しかし本書では、そうしたハイチの現状に目を向けて欲しいということと同時に、自分を育ててくれた人たちの人生、そして自分の人生、これからの子どもの人生を含めた、生命の繋がり、受け継がれる文化が中心に描かれている。それらを語る著者の流麗な文体(それを活かした訳)にあっという間に引き込まれ、こうした身内の人生を語ったエッセイにつきものな、多少退屈な部分、というものが一切なく、その体験すべてが貴重で、だから著者が作家になれたのか、作家だから、それらをうまく調理して運命に抗わず、しかし決して自分たちを見失わない親の生き方を描けたのか、とにかく最後まで興味深い内容だった。

 ダンティカが幼いころはハイチにいて、思春期にNYで両親と暮らすことになったのは、デビュー作にもある通りだが、こうして改めてそのことを読むと、この父と伯父の絆の強さに心が打たれる。そしていわば親に置いていかれたようなダンティカ(と弟ボブ)が、親の愛を確かめようとする気持ちも痛いほど伝わってきた。NYで両親が生計を立てている間、兄弟が2人生まれるが、その兄弟とボブもあっという間に、男兄弟同士の絆を育んだあたりも強く心に響いた。何というか、皆がしっかりしていて、子どもも甘ったれではなく、お互いを思いやり、チームワークの良さを感じるというか、やはり、絆が強い、という一言に尽きる。

 父が死にゆく一方、ダンティカのお腹に命が宿っていく。なかなかそれを両親に言いだせないダンティカの気持ち、父に死期が迫っていることを告げるかどうか皆が悩んでいたら、逆に父から自分は治らないだろうから、今後のこと(母のことも含め)を考えようと提案する行、息子から自分の人生はどうだった?と訊ねられ、それに対する父の答え、伯父の病、声が出なくなり、現状を紙に書き留めていたものが燃やされ、そして最後に起きる事件・・・養女の人生と死、伯母の最期(『おくりびと』的な情緒はなく、テキパキと作業する青年はプロだが、やはり著者のとまどいがとてもよく分かる。著者が『おくりびと』を見たら共感してくれるのではないか)すべてが見知らぬ人たちのことながら、まるで自分の身内のことのように強く心に響いてきた。読みかけの『Breath, Eyes, Memory』を読みたくなった。
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形式:単行本
ハイチ出身の合州国作家であるダンティカさんの本は、彼女が編んだアンソロジー以外は全部原書で読んできた。傑作である長編『息吹、まなざし、記憶』や短編集『クリック? クラック!』などは翻訳も出ている。
移民作家のある傾向として、力があり話題になっても、自伝的なモチーフや出身地に材をとったテーマを使い果たして、数冊でピークを過ぎてしまう人が少なくない(ジャメイカ・キンケイドさんのように)。
ダンティカさんのこの本は自伝的内容だ。ニューヨークで長くタクシーの運転手をし、今は肺を患い死を目前にした父、ハイチの暴動の中、裏切り者扱いされ、家を焼かれ、合州国に逃れて病に倒れた伯父、そして作者自身の妊娠・出産のエピソードが、ハイチの現代史とともに綴り合わせられる。
文中に散りばめられたクレオール語、祖母が語ってくれたハイチの民話、母や伯母らの女たちの描写などが、文章をいきいきと膨らませる。ダンティカさん、まだまだ枯渇せずにやれそうかな? 次作にも期待する。
原書について:意図的にかもしれないが、単語は難しくないけれど、英語としては破格すれすれのセンテンスが多い。クレオールの影響? ネイティブが読むと、移民らしさが伝わる文章なのかもしれない。
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