『大統領の理髪師』で母子を演じたムン・ソリssiと子役のイ・ジェウン君が,再び親子として共演しています。5年前に封切られた映画なのですが,どうして今の時期でのリリースなのか理由は分かりません。
ジャケットを見ますと妙に古臭い印象ですが,これは映画の時代背景が,「朴正煕大統領 有故」(1979年11月26日)とありますので,韓国激動の70年代を印象ずけるための細かな配慮だと思います。あまり期待せずに見始めまたのですが,感動的ないい映画に出会えて得した気分になりました。
映画は,「私にも妻がいたらいいのに」のパク・フンシク監督が,一昔前の韓国を描いているのですが,そこにはドラマチックな設定も派手なエピソードもなく,淡々と進むストーリーに退屈さを感じる方もおられるかもしれません。しかしその中に,人々の日常生活を暖かく見つめるパク・フンシク監督らしいこだわりがいっぱい詰まっていて,例えば映画の題材として小道具的に使われる“幸せの手紙”のくだりでは,“フムフム”と頷かされてしまうなど,ともすれば私たちが忘れかけてしまいそうな記憶を呼び覚ますようなエピソードを丁寧に積み上げて,リアリティのあるストーリーに仕上げてあるところが何ともいえなくいいですね。
加えて,撮影されたのが全州にある伝統的な韓屋で,今年の春に現地に行って来ましたので余計に感情移入してしまったのかもしれません。
さらには,ムン・ソリssiの演技です。セクシーな女性だけじゃなく,本作では,たくましい韓国の母であり,普通のおばさんを演じますが,どんな役でも完璧にこなしてしまうところが“実力派女優”といわれる所以でしょうね。そして,ウンスク姉さん役のユン・ジンソssiも“こんなお姉さんがいたらいいのに”なんて思わせてくる演技でしたし,妹ヘスク役のパク・ユソンちゃんには泣かされてしまいました。久々のフルマーク映画です。