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愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える (光文社古典新訳文庫)
 
 

愚者(あほ)が出てくる、城寨(おしろ)が見える (光文社古典新訳文庫) [文庫]

ジャン=パトリック マンシェット , Jean‐Patrick Manchette , 中条 省平
5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
価格: ¥ 580 通常配送無料 詳細
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

精神を病み入院していたジュリーは、企業家アルトグに雇われ、彼の甥であるペテールの世話係となる。しかし凶悪な4人組のギャングにペテールともども誘拐されてしまう。ふたりはギャングのアジトから命からがら脱出。殺人と破壊の限りを尽くす、逃亡と追跡劇が始まる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

マンシェット,ジャン=パトリック
1942‐1995。フランスの小説家。マルセイユ生まれ。パリ大学ソルボンヌ校在学中より左翼政治運動へ傾倒。その後、大学を中退し、様々な職業で生計を立てる。1971年、ガリマール社より共同執筆と単独執筆の犯罪小説が相次いで刊行され小説家デビュー。1972年には『愚者が出てくる、城寨が見える』が出版され、翌年の「フランス推理小説大賞」を受賞。一躍、フランス暗黒小説のリーダー的存在となる

中条 省平
1954年生まれ。学習院大学教授。仏文学研究のほか、映画・文学・マンガ・ジャズ評論など、多方面で旺盛な活動を展開している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 253ページ
  • 出版社: 光文社 (2009/1/8)
  • ISBN-10: 4334751741
  • ISBN-13: 978-4334751746
  • 発売日: 2009/1/8
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.6 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 5.0  レビューをすべて見る (3件のカスタマーレビュー)
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10 人中、10人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By シネマA トップ500レビュアー
形式:文庫
 かなり以前に早川書房のポケットミステリから岡村孝一訳で出ていたジャン=パトリック・マンシェットの『狼が来た、城へ逃げろ』の新訳版である。

 私は旧訳も読んでいるが、物語のディテールをほとんど忘れていたので、興奮をおぼえながら、ひといきに読み終えた。即物的な文体。展開がたいそう速くて過激。英米の一般的なミステリとは異質なフランス産ミステリ。光文社古典新訳文庫のラインナップのなかでもひときわ異彩を放っている。三十余年の歳月が流れて、いよいよロマン・ノワール(暗黒小説)も文学の古典の仲間入りを果たしたということか。

 いま読むと、執筆された当時の社会背景と思潮が多分に影を落としているようだが、暴力とニヒリズムと無政府主義、銃とクルマへの執拗なこだわりなど、わが国の大衆的な人気作家だった大藪春彦の世界観と通底する特徴が浮かびあがっていることは興味深い。

 訳者の中条省平が解説も書いていて、読みでがある。懇切丁寧。作品への愛がしっかりと伝わってきた。それにしても、じつは岡村訳の旧題が誤訳だったとはなあ。しかし、読者の側から見たときに、新訳の凝った題名より『狼が来た、城へ逃げろ』のほうが作品の意図するところを的確にあらわしているようにも感じられるのは皮肉な話だ。
このレビューは参考になりましたか?
形式:文庫|Amazonが確認した購入
あまりこの作品やジャンルの背景事情に詳しい人間ではないのですが、
タイトル通りのカラッと表現された暴力と狂気、そっけない文体の虜となり、一気に読み終えました。
登場人物の全員が狂っているのが素晴らしい。
このレビューは参考になりましたか?
12 人中、3人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By
形式:文庫
異常者と犯罪、殺戮とパニック、ドライブするナラティブ。素晴らしい翻訳に資するのだろう「暗黒小説の傑作」との看板に偽りなし。

素敵な描写の一部を紹介すると、

小銭が必要なときや、小切手で支払う客の身分証明書をチェックしてもらうときに主任を呼ぶ鐘だ。その騒音の上に、ジョーン・バエスおばさんの澄みきった歌声がBGMとしてスピーカーから大音量で流れている。手のつけようがない。

洗剤やワックスの陰からジュリーが浮上した。右腕が血まみれで、長い手袋をはめてるみたいだ。

ジュリーは急流のなかほどで凍りつき、一本の錆びた釘がペニスのように木からゆっくりと抜けていくのを恐怖に魅入られながら凝視した。こんな話は、すでに小説や、キング・ヴィダーの映画の題材になっているじゃないか。フランク・ロイド・ライトの生涯をネタにして、ゲーリー・クーパーが出たやつだ。

「私は女子供を殺すしか能のない男なんですよ」トンプソンがいった。「あの女とがきを殺せなければ、私のほうが死んでしまう」

トンプソンが戻ってきたとき、顔にも衣服にも一滴の血も着いていなかった。牝鶏の羽と残骸は生ゴミのディスポーザーが呑みこんでくれた。装填する銃弾は胆汁と血にまみれている。

トンプソンは急な傾斜を四つん這いで登り、咳と吐き気に体を揺すぶられながらも、カービン銃を抱え、水が入らないように銃口に人差指を突っこんでいる。

ジュリーはペテールのちぎれた耳を見た。

足の大部分がなくなり、骨と肉がシチューのように混じりあい、血が水道みたいに噴きだしている。

泥まみれのカービン銃を振りかざし、残った脚で歩いて、ジュリーの追跡に乗りだした。

「お前は死んでいる」ペテールは宣告した。

のような文体で最後まで押切られる、喜び。                      
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