シュトロハイムの傑作です。
このDVDが出るまで、ずっとIVCのものを観ていました。
サイレントの中では相当に気に入っている作品なので、このDVDが出たときにはすぐに食指が伸びましたが、値段も高いので保留されていて、最近入手しました。
同じように安価なIVC版と高価な紀伊国屋版で迷う方もいると思いますので、参考になれば。
このDVDは現存するプリントの中でも最長のものから製作されているそうです。
本編143分で、IVC版の108分にくらべると全然長くなっています。
それでも元の長さの1/4程度ということですから、原型の片鱗しか垣間見ることができないという意味では、本質的にIVC版と大きく異なるとは思えません。
ただ、比べてみると相当に新しいカットが入っていて、作品全体の印象は違ったものに感じられます。
どこか短絡的だったIVC版に比べて、紀伊国屋版のほうが明らかに表現全体が豊かな感じがすることは確かで、細かなニュアンスが再現されていると思います。
プリントについては、デジタル補正をかけているわけではないので、全体として相当ストレスが強いものになっています。
IVCと比べてどうかと言えば、かろうじてこちらのほうが良いといえるかもしれません。
特筆に価するのは、着色が復活しているところです。
これがあるのとないのとでは、作品のニュアンスが全く違いますから、実は一番大きな違いだといえるかもしれません。
特典としてついているDVD「シュトロハイム その生涯と映画」については、大変良くまとまったドキュメンタリーです。
このDVD以外で観ることはできませんから、ファンにはたまらないと思います。
以上のような様子です。
これを踏まえると、それほどシュトロハイムの作品に思い入れがない人なら、まずは安価なIVC版を観てみるのが良いかもしれません。
IVC版で「
愚なる妻 [DVD]」と「
グリード [DVD]」あたりを観てみて気に入ったら、ぜひこちらのDVDを買ったらよいと思います。
もちろん、資金力に問題が無い人はIVC版を観るまでも無く、こちらを買うことをお勧めします。
個人的には、ぜひ「グリード」を紀伊国屋から出して欲しいです。
良いプリントのものを見てみたい。