副題にもあるとおり,「意見分析」を社会学と工学の視点から
眺めた入門書.意見分析「エンジン」だけではない.
イントロ+社会学の話40%, 技術の話40%,応用の話題20%という感じの割合.
前半は社会学から見た意見分析の方法論が書かれており,
社会学の門外漢である自分には掴みどころがなく,少し辛かった.
ただ,工学の研究では最初から問題ありきで考えてしまいがちな
ため,スタート位置を確認する意味でも役に立つと思う.
例えば,最初の背景の章で「意見とは何か?」という意見の定義
について様々な文献を引用して考察しているので,立ち位置が
安定した状態で読み始めることができる.
後半は,工学の視点から「意見分析エンジン」をどうやって
作るかということについて書かれている.
計算機科学の分野でも評判分析(sentiment analysis)などの
キーワードで扱われることの多いが,本書で定義する「意見分析」
という観点からこれまでの研究を俯瞰している.
アルゴリズムの詳細は書かれていないものの,参考文献が多く含
まれているので,近年の「意見分析」を俯瞰するのに良い手がかり
になると思う.
私はこの分野の専門ではないので,良い勉強になったが,
現在評判分析を研究している人には真新しい情報はないかもしれない.
逆にそういう人には本書の前半部分(社会学からの視点)が
役に立つのではないかと思う.