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47 人中、41人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
これは村上春樹による「村上春樹論」だ,
By 箕面の滝 "サルとモミジ" (東京都) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 意味がなければスイングはない (単行本)
軽くて重く、重くて軽い内容の本書。村上春樹の本気がギンギンみなぎっている。 小説以外の著作では、確実に「最高傑作」だと断言する。 本書は単なる音楽評論ではない。 村上は以前「本当の自分を伝えるためには自分の好きなモノを語ればよい」と提案したことがある。 彼はその著作で、大好物であるカキフライの素晴らしさを語っていた。 ここではカキフライが、11人の音楽家である。 もうボリューム満点。 村上春樹によって、村上春樹自身がたっぷりと描かれているのだから。 音楽に興味がないからといって本書を敬遠するのは筋違い。 『村上春樹、自分を語る』というタイトルがふさわしい。 当然ながら村上ファンは必読だ。 彼の小説を読んだことがない読者にとっては、村上春樹という作家を知ることが出来る絶好の著作である。
24 人中、19人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
村上春樹ファンはもとより音楽ファンにもお勧め。,
By
レビュー対象商品: 意味がなければスイングはない (単行本)
村上春樹の作品(小説にしろエッセイにしろ)に登場する音楽のジャンルは、クラシックからジャズ、ロックと実に広く、それぞれのジャンルのアーティストや作曲家について作者自身が一家言を持っていることが伺われる。登場シーンは実に短くてもぜひ聞いてみようという気にさせてくれる。さて本書はこうした村上春樹がまさに音楽そのものを語ったエッセイだ。よくよく考えてみると、著者の作品で、音楽がここまで真正面から取り上げた作品はなかったはず・・・。 とりあげられるアーティストは前述の通り、作者の好きな音楽ジャンルからまさに好きに選ばれ、全く体系だったものも傾向させもない。ただしそれぞれのジャンルでの記述の深さは、この曲がいいとか、好きだとか表層的なレベルに止まらない。それぞれのアーティストのバイオグラフィや演奏スタイルや演奏に垣間見える音楽的解釈の問題など考察が展開する。一篇一篇の章がけっこう長くじっくりと描かれ、著者の音楽観をみることができる。また、もともと文章の達人である著者のこと、音楽という抽象的なものを表現するにあたって、文章のうまさが十二分に発揮され、ヘタな評論家の文章よりもはっきりくっきりと理解できる。 シューベルトのピアノソナタ17番というマイナーな曲のレコードを演奏家別に15種類聞き比べてみたり、ブルース・スプリングスティーンの楽曲の背景をアメリカ現代史の中で語ったり、、ビーチボーイズ(ビーチボーイズは作品中にもよく登場するアーティストの一人ですね)やスタン・ゲッツの麻薬人生を描いているかと覚えば、ショパンの演奏で有名なルービンスタインと同時代のピアニスト、ゼルキンを比較しながら20世紀前半の爛熟したヨーロッパ文化を語る、はては、しがすがお、はたまたジャズファンでもなかなか見いださないサイドメンというべきマイナーなピアニストを取り上げてみたり、と縦横無尽だ。 中でも個人的に深く頷いたのは、「ウィントン・マルサリスの音楽はなぜにこんなに退屈なのか?」の章。見事なまでの文章。たとえマルサリスを知らなくても、よく理解できるハズ。 村上春樹ファンはもとより音楽ファンにもお勧め。
10 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 5.0
音楽を奏でるように小説を書く,
By
レビュー対象商品: 意味がなければスイングはない (文春文庫) (文庫)
著者が敬愛する音楽と音楽家についての、まとまった分量のエッセイ、と聞いただけで春樹ファン、音楽ファンなら迷わず買うべきでしょう。著者は音楽と音楽家を論じつつ、常に同じ表現者である自分へのメッセージを書いているようです。 スタン・ゲッツの章では、ドラッグに滅びながらも天空を舞うような比類なきアドリブを見せた芸術家の悲しい性を。ブルース・スプリングスティーンの章では、労働者階級の代弁者が成功しても決して浮かれずに自分の状況をどこか違和感をもって見つめる、同じく著者が愛するレイモンド・カーヴァーと通じる知的誠実さを。ウィントン・マルサリスの章では、細部までコントロール使用とする優等生的なアプローチが、ジャズを本来のジャズから遠ざけてしまうことを。それぞれ小説家としての自分への応援であり戒めであり慰めでもあるのだと感じました。 いずれにせよ著者は同じ表現者として深い共感を持ち、愛情あふれる筆致で、音楽への偏愛を語っています。『ポートレイト・イン・ジャズ』とあわせて、見事な文章です。
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