まるで自己啓発書のようなタイトルですが、内容は第一級の仏教書です。私的なことで恐縮ですが、このシリーズによって初めて学問や観念的な神秘思想ではない本物の仏教、さらに仏教の実践法について正しく知ることができたような気がします。本巻で面白いのは、いわゆる「神さま」について仏教の立場からとても重要な洞察が為されている部分があることです。お釈迦さまは結構神さまとも付き合いがあったようなのですが、どうも神さまの世界は人間の世界ほど知恵の開発には向いていないようです。さまざまな不安が蔓延する昨今の世相を反映してか、神さまの言葉や預言を頼みにしようとする人が多数見られますが、人間として生まれた私たちにとって正しい努力の方向とは何なのか、何度も自らに問いかけてみる必要がありそうです。ぜひご一読をお勧めします。