読書の愉しみとして、今まで自分が知らなかった世界を(部屋に座りながらにして)見ることができるというのがありますが
この本はその愉しみを十二分に与えてくれる良書でした。
たっぷりの写真と図版で「ヴンダーカンマー」が紹介されており、ページをめくるのがとても楽しいです。
「ヴンダーカンマー」は広い世界をひとつの部屋に押し込めようとした奇妙な陳列室で、珍しい外国のおみやげ品やあやしげな剥製や標本がゴチャゴチャに展示されているというものです。
今日的な目から見ればばかばかしいコレクションではあるのですが、眺めているとなぜか心が揺さぶられるようです。多分、世界の秘密を解明しようという昔の人の熱意と興奮が、そのごたまぜコレクションから伝わってくるからでしょう。
今の私たちとはまったく異なる視点から世界を見ていた彼ら。ヴンダーカンマーという覗き穴から改めて世界を見ると、ハッとするような新たな発見があると感じます。
ヨーロッパのあちこちに再現されているというヴンダーカンマーですが、観光地でもないようですし、多分一生訪れる機会は持てそうにないかなと思います。そうした場所をていねいに案内してくれた著者に御礼を言いたいです。