NHKBSで先日放映されました。録画もしなかったので、記憶と後日調べたことのみのレビューであることをお断りしておきます。
本作品は日本では劇場公開もなく、DVD化されていません。今回のTV放映で初めてご覧になった方が多いと思います。監督はダイアン・キートンです。女優さんとしての活躍は知っていましたが、監督作品があるのは今回初めて知りました。
<以下内容に触れています>
モノクロの家族を写した8ミリフィルム映写の場面から始まります。ここで発明家のお父さん、やさしいお母さん、二人のこどもたちのしあわせな家族の様子を手際よく説明し、とても上手い導入の仕方です。美しい色合いの映像とお母さんの笑顔が印象的でした。とくに男の子、スティーヴンといる時のお母 さんの雰囲気がなんともいえず、いい感じでした。スティーヴンを演じる少年はたいへん上手い子役ですが、出演作品は本作品のみのようで俳優業を続けた様子はありません。妹役の少女はまだ幼く演技というよりは、全くの自然体でとてもかわいらしかったのが印象に残りました。
ある日お母さんが重い病気であることがわかり、一家の幸せに陰を落とします。雇った家政婦さんに子供たちがなつかず(このあたりの表現がとても面白かったです)、お父さんも日に日に不機嫌さが増します。
ここへ親戚のいっぷう変わった「二人組のおじさん」が登場します。スティーヴンはこのおじさんたちの家にしばらく居候をする(家出のような感じです) のですが、この家がたいへんなのです。積み重ねられた新聞の山。部屋の中はまるで迷路。この『ワンダーランド』での生活でちょっと弱虫だったスティー ヴンはうんと成長します。と同時におじさんたちに名前まで変えられてしまいます。
学校へ再び戻った日、以前とは比べ物にならない堂々とした態度で教室へ入ったとたん、なんといきなり『インターナショナル』(フランスから世界に広まった革命歌)を歌います。これには私も驚きました。確かに『インターナショナル』はメロディーラインのきれいな曲で、意味を把握していなくても歌いたくなりますが、スティーヴンは彼なりの「革命状態」にあったのでしょう。
やがてお母さんの死、そしてそれを受け入れ難いお父さんとスティーヴンの葛藤。お父さんが一旦ゴミ箱に捨ててしまった家族の思い出の8ミリフィルムをスティーヴンが拾い出し、二人でフィルムを見るところで映画は終わります。
最初と最後のモノクロの8ミリフィルムの映写シーンがとても効果的で、作品としてすごく上手くまとまっていると感じました。トーマス・ニューマンの音楽も印象的でした。
ながながと「粗筋」を書いてしまいました。あまりレビューで粗筋を書かないのですが、この作品はご覧になった方がそれほど多くないのではないか、 そしてDVD化されていないのであえて書きました。他のレビュアーの方と同様なかなかの佳作だと思います。このまま消えてしまうのはもったいない気がします。
原作はジャーナリスト、フランツ・リッツの回想録です。
監督:ダイアン・キートン
原作:フランツ・リッツ
音楽:トーマス・ニューマン
CAST
アンディ・マクダウェル/ジョン・タートゥーロ/ネイサン・ワット/マイケル・リチャーズ/モーリー・チェイキン/アン・デ・サルヴォ他