絶頂期の山田太一の傑作ドラマのひとつ。今の晩婚時代では少々古臭いが、いわゆる結婚適齢期の女性の心理を細かく描写して高い評価を得ましたが、たしか裏番組が倉本聰の「北の国から」で、世間の話題がそちらに向いてしまったようで「ふぞろいの林檎たち」や「男たちの旅路」に較べると認知度が低いのが残念です。
さめている田中裕子、情熱的な古手川祐子、実直な森昌子の3人のキャラクターがよく、森昌子の演技力の高さは意外でした。主人公の3人だけでなく脇の人物も魅力的で、佐藤慶の田舎の頑固親父(この人インテリをやってもうまいし、凄い演技力)、最初下手に出ておきながら突然亭主関白になる加藤健一、根津甚八のような根津甚八(最終回見ればわかります)など多士済々でした。しかし、なんといってもおそらくこれがテレビのデビュー作であろう矢島健一が絶品です。インテリの矢島健一の語るうんちくの数々、なかでもキルケゴールの言葉は当時、気になって本を買って確かめた記憶があります。いまや「ケイゾク」の刑事や「ライフ」の教師役のみならず多くの映画でも官僚的な憎まれ役をやらせたら右に出るものはない彼の若き日のさっそうとした姿を見ることが出来ます。