雑誌連載分から購読していましたが、あまりのクオリティに単行本も即買いしました。
少し影のある一人の女の子(彼女は『自分はレズビアンだ』というアイデンティティをはっきりと持っています)と、彼女を取り囲む人々の物語です。
元々、竹宮さんの描かれる話は、甘々な中にも苦しさやほろ苦さがスパイスのように効いていて大好きでした。
今回は同性愛者としての不便さや苦さがよりくっきりと表現され、それを含めての女性同士やセクシャルマイノリティ同士の関係が鮮やかに語られます。その関係は時に痛みを伴うものです。けれど、痛みや苦さを超えたところにある喜びや楽しさが随所にちりばめられた、大人向けの贅沢な作品になっています。
百合姫系の既刊単行本「ラブフリッカー」や「キラキラ」では、百合の甘酸っぱい部分がたっぷりと描かれていましたので、この作品を読んでギャップに驚くファンの方もいらっしゃるかもしれません。
けれど、甘酸っぱさとはまた違った切り口で読者の心にくっきりと爪痕を残すような、極上の百合漫画です。
ふんわり可愛い百合も、ヒリヒリするような大人の百合も、こんなに素晴らしく描き上げる竹宮さんの表現力には驚くばかりです。
心に響く百合をお探しなら、間違いなく買いの一冊です。