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惜別 (新潮文庫)
 
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惜別 (新潮文庫) [文庫]

太宰 治
5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

仙台留学時代の若き日の魯迅と日本人学生とのこころ暖まる交遊の描写を通して、日中戦争という暗く不幸な時代に日中相互理解を訴えた表題作。“アカルサハ、ホロビノ姿デアロウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ”敗戦へとひた走る時代風潮に対する芸術家としての自己の魂を、若き頃からの理想像、源実朝に託して謳う『右大臣実朝』。太宰文学の中期を代表する2編を収める。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

太宰 治
1909‐1948。青森県金木村生れ。本名は津島修治。東大仏文科中退。在学中、非合法運動に関係するが、脱落。バーの女と鎌倉の小動崎で心中をはかり、自分だけ助かる。1935(昭和10)年、「逆行」が第1回芥川賞の次席となり、翌年、第一創作集『晩年』を刊行。この頃、パビナール中毒に悩む。’39年、井伏鱒二の世話で石原美知子と結婚、平静をえて「富嶽百景」など多くの佳作を書く。戦後、『斜陽』などで流行作家となるが、『人間失格』を残し山崎富栄と玉川上水で入水自殺(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

登録情報

  • 文庫: 388ページ
  • 出版社: 新潮社; 改版 (2004/02)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4101006105
  • ISBN-13: 978-4101006109
  • 発売日: 2004/02
  • 商品の寸法: 15 x 10.6 x 1.8 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.1  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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9 人中、8人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
実朝を忘れず 2006/12/26
By @poor work トップ500レビュアー
「右大臣実朝」「惜別」の2作を収録。

右大臣実朝は、東鑑からの引用を主体として日々起こり行く事柄を書き、

側近の人物の独白という形で太宰独自の解釈を加え、実朝という人物を描いてゆく。

この独白調は太宰得意の手法で、さすがに堂に入っており、鬼気迫るような完成度を感じる。

滅びの予感を持ちながらも超脱した姿を見せる実朝に、

太宰は貴族としての理想像を見ていたのだろう。

”HUMAN LOST”の中に、「実朝を忘れず」という一行があるように、彼の心の中には常に実朝があったのだと思う。

読後感は、どの小説にもない独特のものがある。

「惜別」

こちらは東北の老医師の手記、という形で、若き日の魯迅を語る。

が、この魯迅は、魯迅というより完全に太宰であり、読み進めているうちに魯迅の姿はまったく消えてしまう。

それを許せるか、許せないかでこの作品の評価は大きく変わるだろう。
このレビューは参考になりましたか?
17 人中、14人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
この「右大臣実朝」は、個人的に太宰治の最高傑作だと思ってます。高校時代にこれを読んで人生観を動かされるほど感動しました。自らの宿命的な破滅を予感しながらも、現世を超越した雅の中にあえて耽溺する実朝の姿を描きながら、おそらく太宰は自分の理想とする生き方をそこに重ねていたのでしょう。某エッセイでも、(右大臣実朝を)書くのが楽しくてしかたないみたいなことを言っています。これを読まないで太宰は語れません。
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2 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
素晴らしい。 2009/12/4
By 如那傘如臼太 トップ500レビュアー
『惜別』がひたすら素晴らしい。
文章がいたくカラッとしており、すいすい読めた。

作品の書かれた時代と動機がややアレなのだが、
それは読んでいるうちになんとなく分かるだろうし、詳細はあとがきを読めば分かるので問題なかろう。

この作品には文豪:魯迅の仙台医専時代が朗らかに描かれている。有名な藤野先生も登場する。
迷いながらも前に進む青年の姿は非常に爽やかで、読後感も良い。
爽やかではあるものの太宰節は健在であるし(物語後半の魯迅の独白の節など)、お約束の『色黒い顔』も少女のかたちで出てくる。

当時から仙台医専には様々な出自の人がおり、
この作品では津軽人(語り手)、関西人(藤野先生)、仙台人、東京人、そして中国人(魯迅)が特に取り上げられている訳だが、
異なる出自の人々の異なる部分、根本的に同じ部分が細かく描き分けられている。
津軽人の目から見た『大都会:仙台』の姿にも共感できた。
この辺の出自コンプレックスも、他作品と違って明るくまとめられている。

『右大臣実朝』は吾妻鏡を題材にし、将軍実朝を中心に初期の鎌倉幕府を描いた作品である。こちらは結構読みづらい。
私は筋書きの中核を成す出来事のおおよそを知った上で読んだのだが、それでも読みづらかった。

歴史の流れの中での実朝の一挙一動を、近習だった侍が取り上げては褒めそやす、
という形式が取られている為、文章が終始冗長になっている。
また、実際の吾妻鏡の文が節々に挿し入れられているのもあり、マジメに読もうとすると一苦労。

ただ思想的には素晴らしいものがある。
『アカルサハ、ホロビノ姿デアラウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ。』
という実朝の台詞にはグッと来た。個人的に太宰の格言の中で最もずっしり来る一言である。
実朝の甥である公暁のヤケっぱち具合、鴨長明の俗物具合にも注目して読むと面白い。
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