死の衛星が建造された過去界の惑星ツォイトでのテラ戦士の必死の戦闘を描く大長編SFスペース・オペラ宇宙英雄ローダン・シリーズ第221巻。本巻の執筆者は、技巧が冴え渡る業師の競演エーヴェルスとフォルツです。死の衛星はオヴァロンの時代より数十年後に太陽系の第五惑星ツォイトで建造されたらしい、との情報を得たローダンは一旦現実時間に帰還して装備を整えた。
『火星と木星のあいだ』H.G.エーヴェルス著:過去界で惑星タイモンと呼ばれた秘密工業惑星は生命体が住めない極端な自然条件故に選ばれたという。改めて過去界へと旅立ったローダン一行は途中アウストラロピテクスを訪問し、スペース=ジェットで惑星ツォイトを目指した。『惑星ツォイトの野獣』ウィリアム・フォルツ著:惑星ツォイトの地面に急に亀裂が発生する。それは200年振りに冬眠から目覚めて芽吹いた植物で急激に成長して行き、やがてカピン女性メルセイレが朦朧として池の中へと誘い込まれる。危険な花が不思議な影響力を発揮し抵抗力の弱い者に襲い掛かったのだった。
カピン女性メルセイレはローダンに淡い恋心を抱いた様で、彼女を愛するオヴァロンとの間に微妙な軋轢が生じます。「あなたは他の時間から来た存在で、まぼろしでしかない。彼女がまぼろしを信じるのが心配なのです。」とオヴァロンが胸の内を吐露する場面が印象に残ります。故松谷健二氏のあとがきは、残念なお話です。今年の3月に友人とモンブランで滑る予定で楽しく計画を立てていましたが、12月に急に体調がおかしくなりました。これが噂に聞くメニエル氏症候群かと自覚され、今回は旅行を断念しました。十年前なら悔しくてたまらなかっただろうが、今回意外にすんなり諦められたのは年の劫というやつで、ある種の願望にはあまり執着しない術を自然に体得したのかも知れない、段々にガキではなくなりつつあるのかとつぶやかれています。