大群内の重要惑星コクーンに潜入し黄色い征服者とのコンタクトに踏み切る選抜コマンド第五列の活躍を描く大長編SFスペース・オペラ宇宙英雄ローダン・シリーズ第268巻。本巻の執筆者は、大御所と新入りの競演ダールトンとヴルチェクです。惑星コクーンで黒い悪魔を倒したテラのコマンド隊員達に、協力者のプラズマ生物から新たな重大情報がもたらされる。本書のカバー・イラストはご病気から復帰された依光隆氏の作品ですが、グッキーと皿アンドロイド‘これ’が互いに敬礼し合っている愉快でユーモラスな絵柄ですので、読者を微笑ましく幸福な気分にしてくれるでしょう。
『未知への輸送』クラーク・ダールトン著:惑星コクーンには伝染病に感染した黄色い征服者が多数いて、生来の分裂衝動に苛まれているという。コマンドの指揮官アラスカはある作戦を立案する。本編の読み所としては我らがグッキーと皿アンドロイドの間に結ばれる猜疑心のない純粋な友情がとても感動的です。『惑星コクーンの免疫者』エルンスト・ヴルチェク著:第五列の物理学者アルファとベータのブラゾン兄弟は二人でハチの巣船に潜入し黄色い征服者で免疫病者のガホルクを味方にして、ある重大な作戦行動に出ようとしていた。本編では仲の良いブラゾン兄弟が中世の騎士社会程度の進化過程にある惑星で主役を張って、堂々と任務を遂行し天晴れな活躍を見せるのが小気味良く印象的です。
本巻の翻訳者、池田香代子氏のあとがきは本シリーズの大群サイクルにおける黄色い征服者の存在が、悪意の欠如した悪行は悪か?という命題を突きつけていると考察し、現実界に置き換えて考える興味深い論考を展開されています。私はローダン・シリーズの本質は人間味溢れる感動的なストーリーの部分にあると考えていまして、巻を重ねる毎により深化している手応えを実感しております。