シュミッツの1966年のスペースオペラ。とても読みやすく最後まで一気に読ませる面白さを持っています。オーソドックスと言われる様に少年少女向きのジョブナイルで出版された方がいいのではと思う様な内容ですが、「ヴァッチ」という存在が、ただのありがちなスペースオペラとは一線を画す深みと魅力を作品に与えている。ひとつ残念な事は、まあこの作品を読んだ人なら皆思うと思いますが三姉妹の長女マリーンが序盤以降、全く登場しない事ですね。三女のザ・リーウィットと三姉妹の母トールは最期のクライマックスで重要な登場人物の一人となりますがマリーンも中盤以降、物語に絡めて欲しかった気もする。読者は主人公のパウサート船長とマリーンがせつない別れ方をした後、「次いつどんな形で再会するの?」と期待を込めて読み進めると思うので最後まで登場してこないので残念に思うと思います。三姉妹の父スレバスも最期に登場するだけですので、あえて難点を言わせてもらえば、せっかくの魅力ある登場人物達を使い切れていないという事、このタイプの小説にありがちな続編が次々と書かれるのならこの不満点も解消されるのだが、残念ながらこの作品には続編は書かれていません。最後に表紙のカバー絵を宮崎駿が書いています。好きなのでしょうな。確かにヴァッチが「小さき者よ・・」と呼びかける所や、精神世界(?)の思念の駆け引き、パウサートが魂の遊離から戻ってくる所の描写はナウシカに影響を与えている気がしないでもないですが。