友人の薦めで聞くようになったボサノヴァ、その彼が薦めてくれたのがこの本です。同社から発売されている「ボサノーヴァ詩大全」の著者による、ブラジルに渡ってブラジル音楽界や放送業界、日系社会に深く関わってきた人でしか知り得ない、まさに「とっておきの裏話」が語られています。友人に言わせれば、故・大島守さんを除けば、ブラジル音楽界に最も詳しい事情通はこの坂尾氏との事。
著者・坂尾英矩氏は、昭和6年(1931)横浜に生まれ、日大学生バンドで進駐軍回りをしていたそうです。その後、昭和31年(1956)に単身ブラジルに渡伯。
そのきっかけが、領事館で出会った美しいお嬢さんをして「私はブラジルではブスよ」というその一言。そこで坂尾青年は「ブラジルにはどんな素敵な女性がいるのだろうか?」と地球の反対側まで出かけていったそうな(
ボサ・ノーヴァ詩大全より)。
というわけで50年以上ブラジルのメディア界を中心に深く関わり、アントニオ・カルロス・ジョビンや小野リサのエピソードなどは、まさに「裏話」。知っている人間には鳥肌モノです。
文体も堅苦しくなく、というかむしろ、非常に感性に忠実というか、ぶっちゃけ開放的で俗っぽい、いかにも「ブラジル的」なテイスト満載です。文章自体が上手く「読ませてくれる」ので、あっと言う間に読み進めていけます。また1話完結の短編(エッセイ?)集なので、興味ある部分だけ拾い読みしていくのも良いと思います。
ちなみに、自分の気に入ったエピソードは「ブラジル男子の夢は……を食べること」「ヒップに乾杯」「ヒップ大国の危機」…って、全部“そっち関係”。
ブラジル人気質というものが少しだけ感じられた気がします。面白いです、おすすめ!