「なでしこ」ですっかりメジャーになった女子サッカー。だがほんの数年前までは、知るひとぞ知る程度の存在だったはず。
だから、女子サッカーを描いた本作の発表が1999〜2000年という事実は、評者には正直驚きだ。
舞台は浦和。となれば、作中描かれる男子プロチームのモデルは言わずもがなだし、街のサッカー熱の凄まじさ(失礼?)もある程度想像がつく。でも、いかな“サッカー王国”と言えど、草サッカー、ましてや女子チームの実情は、本作の発表当時は果たしてどうだったのだろう。
「なでしこ」の活躍が追い風となって発掘された作品であることは間違いないだろう。しかし、テーマとしての取り上げ方や向き合い方、試合の描写などに見る姿勢には、意外と言うとたいへん失礼だが、ものすごく真摯なものを感じる。
女性らしい繊細さの中にも力感溢れる絵柄や線質だし、トレーニング中あるいは試合中のポーズ取りも、プロだから当然だろうが、バランスがよく取れていて力強い躍動感がある。
作者はきっとスポーツが大好きで、サッカーも、男女の分け隔てなく心底からアツく応援しようというハートの持ち主なのだろう。メジャーとかマイナーとか関係なく、と言うよりは、どう贔屓目に見ても“ど”マイナーな女子サッカーを、なんとしても陽の当たる存在にしたい、との一途な想いがあったのだと思う。
レディコミだからか、男子チームの“イケメン”と好い関係になったり、スキャンダルに巻き込まれたり、するのは、まあお約束なのか。
それはそれとしても、もともと陸上長距離の選手でサッカーはまるでド素人のヒロインが、経験不足を克服しようと懸命にトレーニングを重ね、草チームでどのポジションを任されてもダメもとで必死に食らいついていく姿は、帯のアオリにもあるが、「なでしこ」にまで繋がるひたむきな情熱の原点であり、とても爽やかだ。
文字通り“掘り出し物”の佳作と思う。