登録情報
|
|
あなたの意見や感想を教えてください:
|
||||||||||||||||||||||
|
最も参考になったカスタマーレビュー
25 人中、23人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
新たに訳しなおして出版する傾向にあるらしい岩波書店に拍手,
By
レビュー対象商品: 情念論 (岩波文庫) (文庫)
いわゆる新訳です。多分、他の翻訳本と比べてもこっちの岩波版のほうが段違いに読みやすくなっていると思います。訳者の谷川多佳子さんの努力に多謝。訳注も解 説もわかりやすいですし。 デカルトの死の三ヶ月前に出版されたこの本が扱ってる内容は、大きく2つ点に集 約されます。1つは心身二元論にもとづき人間の感情、情念について生理的な基礎 付けをおこなおうとすることと、もうひとつはその基礎付けたところから帰結する ストア哲学にも通じる道徳論を語ること、にあります。ちなみに評判の悪い心身二 元論も、ストア哲学的な道徳論という観点からみるとちょっと違う意味を帯びてき ています。 で、この本でデカルトが言いたいことは、情念=悪という見方を否定し、理性の善 悪の判断に従うかぎり情念に最も動かされる人間が最も多くの喜びを享受する、 情念は本性上善とする、それを正しく導くためには理性の導きが必要、ということに 要約されます。 読むとスピノザがいかにデカルトを意識していたのかがよくわかるし、モンテー ニュやホッブスらと同時代的な類縁性を、つまり彼らが同じ土俵にいたことを強く感じました。 最後に一言。この本の最後のほうに収録されている、アリストテレスの名前を背表 紙にした本をふみつけにしているデカルトの絵がとても印象的です。
1 人中、1人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 3.0
もはやあまり刺激的でない。,
By 蛇山 次郎 "獅童河原 優" (東京都千代田区) - レビューをすべて見る
レビュー対象商品: 情念論 (岩波文庫) (文庫)
スピノザの「エチカ」第三章と比較するために「情念論」を読んだ。これだけの科学的・哲学的発見をしたデカルトは賞賛に値するものの、現代においてはもはやそれほど刺激的な内容ではないかもしれん。この「情念論」は後世によってほぼ完全に乗り越えられているといえると思う。 デカルトは精神と体の二元論からスタートするが、おそらく確証的な根拠を見つけられなかったために、「精神と身体は別の次元に存在しているが、脳の中にある松花腺で繋がっている」という推測からはじめる。 おもしろいのは、生じた感情と人間の体や顔の反応を分析しているところ。例えば、「憤慨して青くなる人と赤くなる人では、青くなる人の方が危険」。ノンバーバルコミュニケーションのさきがけかもしれない。 「エチカ」との比較で面白かったのは、デカルトが基本感情を驚き、喜び、悲しみ、欲望、愛、憎しみの6種類に分類しているところ。スピノザはこれに変更を加えて喜び、悲しみ、欲望の3つのみにしぼっている。 「おどろき」を最初の感情と定義しているのも面白い。 精神の能動による感情のコントロールに関しては、「反対感情や反対の事象を表象することによって紛らわすこと」としている。スピノザはこれに「感情の対象となっているものの概念を他の事象の概念と接続すること=分析対象にすること」を加えている。
3 人中、2人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
5つ星のうち 4.0
読みやすいです,
By
レビュー対象商品: 情念論 (岩波文庫) (文庫)
デカルトの「方法序説」の訳者である谷川多佳子氏が、この「情念論」も翻訳されています。 解説も豊富なので哲学になじみのない人でも読めるとは思いますが、 平易な文体に比べ、内容は決して簡単ではないです。 最近は「心の哲学」が流行っていて、身体と心をどのようにつなげるかが 問題になっていますが、心身問題について考えるには、 やはりまずデカルトを抑えるのがいいと思います。 「方法序説」では心身の分離の問題が提起されるだけで解決策は ほとんど模索されませんでしたが、こちらの「情念論」ではもっと踏み込んで考えられます。 デカルトは自然学者として、生理学や医学に基づいて精神について考察しますが、 この考察には、現代につながるような問題も多く含まれています。 デカルトは二元論を唱えたことで多くの哲学者に批判されていますが、 それまで考えられていなかった問題を提起したことには大きな意味があるし、 基本的な哲学的問題を考察するにあたってデカルトのテキストは今なお大いに役立ちます。 訳者である谷川多佳子氏の努力により読みやすくなった「情念論」、哲学に興味のある方は 一度読んでみるといいと思います。
あなたの意見や感想を教えてください: 自分のレビューを作成する
|
|
|