本書では教育の情報化の中でも、学校全体の情報化のマネジメントを主眼においてまとめられている。これまでは授業におけるICTの活用や教科や総合的な学習の時間でどのように情報教育の観点を入れていくかなど、授業の情報化についての書は多く出されているが、学校全体のマネジメントを主として扱った書はこれまであまりなかったように思う。
そのような視点からまとめられていることもあり、授業そのものについての記述は比較的少ない。カリキュラムや分掌組織、研修といった情報化を広めていくための施策が中心となっている。
先日、文部科学省が発表した「学校のICT化のサポート体制の在り方について」においても教育CIO、学校CIOを置いて教育の情報化を推進する方向性を示している。今後も(現場サイドの教員の意向がそこにあるかどうかはともかく)教育の情報化を中心的に担う人材の育成がますます重要になってくるだろう。
殆どの学校では情報教育や情報化についてある程度の見識や手腕を持つ教員はごくごく限られた人数しかいない(もしくは誰もいない)のが現状であり、好むと好まざるとに関わらず、学校全体の情報化について携わらざるを得ない状況にある。学校運営の深い部分に関わる絶好の機会ともいえるので、本書に取り上げられたような先進的な実践を参考にしながら手腕を発揮するという道を選ぶことの可能になる。ただ、大半の学校では機器管理以上の職務を果たしていない場合も多く、情報化社会から学校が取り残されていくのではという危機感を感じさせる現状である。本書にもそのような危機感を随所に感じることができる。