情報デザインという題名なので、コンピュータデザイン関係かと思いきや、題名通り情報をデザインする方法を扱った書であった。
情報デザインとは本書の最初に「うれしい体験のためのデザイン」とある。
これではちょっとわかりにくい。
もう少し読み進めていけば、人間中心的なデザインを指していることがわかる。作るためのデザインから使うためのデザインへの変化。デザインの潮流の大きな変化である。
「うれしい体験のためのデザイン」とは製品そのもののデザインにとどまらず、体験のデザインであるとのことだ。情報デザインはそれまでの活動を体験に変化させる。そしてその体験こそが仕事を変え、社会を変える。
なんとなく情報デザインというモノの感覚がわかった気分であった。
情報デザインは製品でなく、体験のデザインであるからか量的でなく質的な思想や協働・学際の思想、ネットワークの思想といった現代的なデザインの概念が多く用いられている。そのようなデザインをするための情報デザインのプロセスについて述べられており、それぞれの段階で求められるデザインアプローチや手法が紹介されている。豊富な手法はユーザ調査のための手法、コンセプトのための手法、視覚化のための手法、デザイン評価のための手法に分類されている。情報というからには情報を扱うための機器であるコンピュータなどの電子機器が大きなウエイトを占めるのは致し方ないが、紙と鉛筆といったオールドメディアを用いての手法も多く紹介されている。また時間や手間のかかる大がかりなものから、短時間で簡便にすむアイデア手法まで様々な方向性を持った手法があり、いろいろな場面で応用が可能であろう。
除法デザインとはデザインやコンピュータの分野だけでなく、人間を相手にする領域、つまるところはすべての領域で活用が可能な手法である。人間の体験をデザインしていくというコンセプトは非常に魅力的であり、可能性のある考え方である。今後も概念も手法もますます充実していくことが期待される。