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本書では、この情報デザインの歴史や、最新の研究結果、特筆すべき事例をあげながら、「情報デザインとは何か」について、気鋭のデザイナーたちが議論を展開していく。Webサイトのトラフィックをイソギンチャクのような形で表現するアネモネプロジェクトや、集計作業の効率化を重視するあまり、回答用紙のユーザビリティが損なわれ、大失敗に終わった1990年のアメリカの国勢調査などの大きなプロジェクトにはじまり、ごく日常のありふれた光景までが取り上げられ、読者に情報デザインのヒントを与えてくれる。
情報デザインといえば、ノーマンの『誰のためのデザイン?』がこの分野の草分けとして有名だが、同様のアプローチで面白いのは、プロダクトデザイナーでIDEO Japan代表を務める深澤直人による論考だろう。深澤は、われわれが傘立てのない玄関に傘を立てるとき、きまって床の「タイルの目地に先端が当たるように立て」ることや、止めてある自転車のカゴにゴミを捨てる人が多いという事実に着目し、そこから「直感的に理解できるインターフェース」の重要性を導き出している。
賢明な読者であれば、本書自体が情報デザインの新たな試みであることに気付くだろう。インデックスとなっている表紙や、必要に応じて読者の欲しい情報が自然に登場するレイアウト、効果的な図版の使い方には、当然といえば当然なのだが、読者を導くための工夫が随所に凝らされている。何らかのインタフェースを手がける人やプロのデザイナーはもちろん、調査を取り仕切るマーケターにとっても意義のある1冊といえるだろう。(土井英司)
日経BP企画
無数の情報が複雑に行き交う時代の本格的な到来以来、携わるカテゴリーを問わず、その交通整理はデザイナーの重要な使命の1つになったと言って良い。本書はそうした行為を「情報デザイン」と名付け、考え方や実現方法を整理して提示している。
「情報デザインの考え方」「情報デザインのプラクシス」「文化と情報デザイン」の3つの大きな柱のほか、情報デザインに対するアプローチの歴史や、キーワード集、情報デザインの第一人者であるアンドレアス・シュナイダー氏へのインタビューなどで構成されている。
同時に、本書自体も情報デザインの実験の場となっているのが興味深い。表紙のカバーが目次のナビゲーションになっているほか、章立て別にアイコンを付与しており、これがインデックス代わりとなっている。本書のウェブサイトも同様の配慮がなされており、プリントメディアとネットメディアの相互補完の試みという点からも注目できる。
情報を作り発信する人間はもちろん、情報を受けたり使ったりする人間にも役立つ一書だ。
(日経デザイン 2002/04/01 Copyright©2001 日経BP企画..All rights reserved.)