著者の堀氏は本業である気候変動の研究の傍ら、自己啓発をテーマとするブログLifehacking.jpにおいて「人生を変える小さな習慣作り」に取り組んでおられます。「情報ダイエット」とは、情報が身の回りに溢れている状況で、情報とのつきあい方をスリム化することによって生産性を向上させることです(P.5要約)」。仕事術の本はたくさん読んだけど、実践できてない。でも、それを責められたくはない、という方にお勧めです。
情報が溢れているという点は、仕事術についても当てはまります。本書は既存の仕事術に対する深い造詣を背景としながらも、たくさんの仕事術を無理に実践するのではなく、いま必要な一つの仕事術に集中する(ダイエットする)ことの重要性を説いています(P.4要約)。その具体的な手法論も丁寧に解説されています。
レビュアーの理解では、本書の言う「情報ダイエット」とは、多くの場合、「心の平静さを保つ技術」ではないかと思います。「この仕事を明朝までに終わらさないと」という状況で人は往々にしてパニックに陥ります。パニックに陥ると、仕事術が有効に機能しません。そのときにはどうするか?パニックから脱することです。心に平静が戻った頃には、これまでに実践していた仕事術が再び助けてくれるはずです。
「情報ダイエット」とは関係ありませんが、次の言葉に感動しました。「私の知っている牧師の方が教えてくれた言葉に、「価値のあるものは、必ず試される」というものがあります(P.190)」。何度も試されて残ったものに対して、人はその価値を認めます。試される機会が来たということは試される人にとって運が巡ってきたのです(ただし、その人の真価が問われるときは危機であるのも、また真です)。今の私には、この言葉が大きな助けになりました。