松岡正剛による『情報の歴史』は、一家に一冊持っていたい名著ですし、小学校の高学年以上の子どもを持つ保護者にも「知の教育」として家に忍ばせておきたいものです。そしていずれは子どもの好奇心と知的冒険心を涵養させたいものです。
本書は、あの大部の年表形式の『情報の歴史』に集約されるような「情報」を使って、どう松岡氏が世界史を解読していくか、その一端を実地に示している内容です。たいへんにキレ味がよいです。
「西の1033年と東の1052年、東西にまったく同時に終末の予告がおぞずれたというのは象徴的」という一文にあるように、西洋と東洋というくくりをこえて、自在に視点を行き来させながら歴史の真髄を語っていきます。専門化しすぎて蛸壷のように硬直した歴史学を脱臼させているのです。
「最初のアミノ酸のようなものができる――これが「生命」なんですね。もっと正確にいうと「情報生命」です。」
こういうサイエンスにまで切り込んだ原理的な記述にも、松岡氏の情報学への徹底っぷりを感じます。
東西を貫通し、古代〜現代までを横断するまさに知の宝庫たる一冊です。