いろんな読み方ができると思うのですが、やはり”死者を悼む”行為と旅に、読む側の感想も
その延長線上の見方になってしまいます。
読んでいて印象に残ったのが静人の”悼ませていただく”という言い方です。”悼んでいました”
でなく、”悼ませていただいていました”という言い回しです。これは全体に作品のもっている
スタンスがよく伝わり、効果的だと思いました。
最も身近で最も愛する人の死を彼はどうやって悼むのでしょう。後半、母巡子の最後の日々が丁
寧に描かれていますが、その「悼み」は読者に委ねられました。
それ程起伏のある展開でもないし、ラストに向かって突き進んでいくような勢いがあるわけでは
ないのですが、不思議と止まらなくなり、一気に読み上げてしまいます。
それだけに私は巡子の悼みまで見せてほしかったと思います。