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悲劇の誕生 (岩波文庫)
 
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悲劇の誕生 (岩波文庫) [文庫]

ニーチェ , Friedrich Nietzsche , 秋山 英夫
5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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商品の説明

内容(「BOOK」データベースより)

ニーチェ(1844‐1900)の処女作。ギリシャ文明の明朗さや力強さの底に「強さのペシミズム」を見たニーチェは、ギリシャ悲劇の成立とその盛衰を、アポロ的とディオニュソス的という対立概念によって説いた。そしてワーグナーの楽劇を、現代ドイツ精神の復興、「悲劇の再生」として謳歌する。この書でニーチェは、早くも論理の世界を超えた詩人の顔をのぞかせる。

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

ニーチェ
1844~1900。ドイツの思想家。古典文献学者として出発し、バーゼル大学教授に招聘された。ショーペンハウアーの影響を受け、またワーグナーと交際、『悲劇の誕生』を出版する。のちワーグナーと訣別、大学を辞職し、ヨーロッパ文明、キリスト教批判を深め、「力への意志」「永劫回帰」「神の死」「超人」「ニヒリズム」などの言葉によって知られる思想を、アフォリズムと詩的表現を駆使して展開した

西尾 幹二
1935年(昭和10年)東京生まれ。1958年、東京大学文学部独文科卒業。長く電気通信大学教授を務める。現在、同大学名誉教授。文学博士。また、ニーチェ、ショーペンハウアーなど訳書も多い(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) --このテキストは、 新書 版に関連付けられています。

登録情報

  • 文庫: 265ページ
  • 出版社: 岩波書店 (1966/6/16)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4003363914
  • ISBN-13: 978-4003363911
  • 発売日: 1966/6/16
  • 商品の寸法: 14.8 x 10.6 x 1.4 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 3.9  レビューをすべて見る (9件のカスタマーレビュー)
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23 人中、21人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
本書を読んで、ニーチェに関してはどんな解説書よりもまず原書を読むべきだと思いました。もっとも本書が処女作だとしても分かり易さの点で『善悪の彼岸』及び『道徳の系譜』には劣るので、ニーチェ哲学への導入として本書を薦めようとは思いません。僕が本書に感銘を受けたのは、何よりも「此岸」から「彼岸」へ至る思考の筋道を学べた点でした。ニーチェは、人類が長く伴侶としてきた二つの芸術衝動がプラトン主義の興隆によって滅ぼされかけたが、ワグナーの音楽はその二つの衝動を復活させる、と言っていると僕は解釈しました。細かい点は本書を読んで確認してもらいたいのですが、我々の伝統は、伝統主義者が言うよりは何百倍も深く包括的であることを思い知りました。「彼岸」を欲する人たち、また「死」を、ゆえに「生」を渇望する人たちに僕は本書を躊躇無く勧めます。
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10 人中、9人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:文庫
ギリシア悲劇の成立を記す一方で、現代ドイツにおける悲劇の再生
を強調、賛美している。

彼はギリシア悲劇を「アポロ的夢幻」と「ディオニュソス的陶酔」と区別しながら論述しているのだが、
*アポロ=純ギリシアの神で公明と明晰の神
*ディオニュソス=トラキアのデーモン(鬼神)で酒と陶酔の神バッカスのギリシア名…である。
その特徴を述べると、アポロが荘厳な格調ある音楽であるのに対し、ディオニュソスは騒々しい舞踏音楽。
アポロが冷静な自己抑制という特性を持つのに対し、
ディオニュソスは陶酔・狂気といった特性を持つ。
また、アポロの奉仕者はミューズの女神たちであるのに対し、
ディオニュソスの奉仕者はマイナデス(酒神信女)である。
この二柱の神の対照から、ニーチェは第一の主題「音楽の精髄からの
悲劇の誕生」、第二の主題である「悲劇の悲劇的死」を解釈し、
第三の主題としてはワーグナーの楽劇を扱っている。

結局彼は、悲劇の「誕生」「死」「再生」の思想を前面に出しており、
現代の世界に徐々にではあるがディオニュソス的精神がめざめつつある
ということが、我々の心によみがえってくると希望を暗示している。
加えて、ドイツ精神のディオニュソス的根底から、一つの勢力が立ちあらわれてきたのだ。それはソクラテス的文化の根本条件とはなんの共通点もない勢力だ、とも言っている。

ふむふむ…、やたら訳注の多い書物ではあるが、対立概念の建設の仕方
そこから論じる内容が独特だな(超人だ)と銘肝する一冊。

このレビューは参考になりましたか?
4 人中、4人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
By イッパツマン トップ500レビュアー
形式:文庫
 「アポロ的」な理性による世界把握/記述の外部に広がる、「もの自体」(byカント)の世界。この「外部」のカオスを認識し一体化を欲求することを、いま「ディオニソス的」な情動として置いてみよう。ニーチェにとって生とはこの二つの背反する力の相克だったわけだが、ギリシア悲劇の起源がセリフや演技ではなくコーラス音楽だったことに着目し、ディオニソス的なものをアポロ的日常に召喚するものだったギリシア悲劇が如何にアポロ的演劇に変化していったかという分析が、ひとまずは本書の骨格となっている。だが、ギリシャ古典悲劇から随分時代が経ったお友達のワーグナーをディオニソスとアポロの二つの世界の相克が込められた「悲劇」を再現した才能として賛美する話がかなり強引にくっついているため、論理の進め方が飛躍的で学術的ではない、という評価が出版当時吹き荒れ、結局この本の出版はニーチェの文献学者生命を絶つきっかけの一つになった。そういう意味では確かにラフな書き方の本なのだが、ニーチェの本の論理展開はいつもこうなので(笑)、僕は彼の記述スタイル自体は余り問題だと思っていない。
 
 寧ろ僕は話の中身の方で気になっている点が一つある。かつて福田恆存はマクベス論(「人間/この劇的なるもの」)で、オチの分かってる悲劇に人が惹かれる理由は人間が演劇的存在だからだと論じたが、ニーチェも初期ギリシャ悲劇は筋の展開を最初に登場人物が語ってしまうことを挙げ、筋や演技以外のものを観客達は鑑賞していたはずだと指摘する。彼の分析ではディオニソス的なものを見ていたのだということになるのだが、じゃあなぜディオニソス的なものに人が惹かれるのかという動機の話になると、案外話が薄かったりする。それはアポロとディオニソスの間を永遠に運動することがニーチェの語る生の根拠/動機であり、人がディオニソスに惹かれるのは論じるまでもない生の情動だからだ。僕はこういう熱いニーチェを読むと確かに元気が出るので好きなのだが、でも、マクベスやギリシア悲劇に限らず勧善懲悪時代劇や歌舞伎の心中ものみたいな例も含めて、人がなんで「オチが分かってる話」に夢中になるのか、という動機の話はもっと広がりのあるテーマなような気がするんだよね。今回は特に悲劇論として本書を手にとったので、そこが星を一つ削った理由です。
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