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悲劇の発動機「誉」―天才設計者中川良一の苦闘
 
 

悲劇の発動機「誉」―天才設計者中川良一の苦闘 [単行本]

前間 孝則
5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)

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商品の説明

内容紹介

太平洋戦争の直前、天才的設計者中川良一は世界トップクラスのエンジンの試作に成功。
海軍はどよめき立ち、生産に励むがトラブル続出。その原因を徹底追及した力作。

内容(「BOOK」データベースより)

日本が太平洋戦争中に創り出した世界最高峰のエンジン「誉」は多くのトラブルに見舞われた。なぜなのか?そこにはすでにH2ロケットの失敗へと続く日本の大型技術開発の問題点がすべて含まれていた。

登録情報

  • 単行本: 448ページ
  • 出版社: 草思社 (2007/7/24)
  • 言語 日本語
  • ISBN-10: 4794215134
  • ISBN-13: 978-4794215130
  • 発売日: 2007/7/24
  • 商品の寸法: 18.8 x 13.6 x 3.2 cm
  • おすすめ度: 5つ星のうち 4.0  レビューをすべて見る (5件のカスタマーレビュー)
  • Amazon ベストセラー商品ランキング: 本 - 15,066位 (本のベストセラーを見る)
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27 人中、25人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
この本は、吉村昭「戦艦武蔵」のような文学でも堀越二郎ほか「零戦」のような技術者伝でもない。画期的な高性能だったが、戦争突入により本来の実力が発揮できなかった悲劇のエンジン、という神話すらも否定する。むしろ、「誉」の設計は、開発戦略の基本や生産の現実を無視した技術的な失敗だったと、丁寧に論証していく。その点では、設計者中川に対しても容赦ない。実に手厳しいが、密度の高い公正で真摯な技術史論なのである。

が、とてつもなく面白く、一気読みした。

陸海軍の航空技術部門や政商中島に率いられたワンマン企業の実態がどうだったか。「省あって国なし、局あって省なし」的矛盾と戦略の欠如。功を急ぐ権力者の性急な指示や現場への介入。本来の目的や本質を外れた技術閥的対立と棲み分け的乱立。現場知らずのエリート設計者の偏重。技術スタッフの対症療法業務への乱用と消耗。窓際に居並ぶ天下り。脈絡のない技術導入や性急で際限なくくり返す新機種の投入。…実は、その血脈が戦争を越えていまの日本にも受け継がれていて、戦後の高度成長や技術立国の神話にもかかわらず、いまもどこかで同じような悲喜劇が現実にくり返されている。
このレビューは参考になりましたか?
17 人中、16人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
「誉」が十分に活躍できなかった背景にヒューマンエラーが多く隠されていることを、エンジニアである著者の視点から分析し、解明した良書です。
これまで語られてきた「誉」発動機についての常識には、誤りや偏った見方があるというのが良く判ります。

中島飛行機の企業風土、当時の時代背景など「誉」企画以前に遡り、中島がなぜこのような技術的冒険に出たのか?なぜ海軍はそれを丸呑みしてむしろ後押しするほど入れ込んだのか?という兵器開発の過程での経緯、あるいは量産に入り製造現場、使用現場でどんな問題が起きていたのか?その原因は何だったのか?といったことをかなりの量の取材と資料から解明しており、非常に興味深いです。
また、先の大戦で成功した米英の航空発動機、ライバルの三菱重工の発動機開発との対比を行い、実用品のエンジニアリングとはどうあるべきかについても、専門外の読者が理解出来るように解説されています。
このあたり、物作りに関わる人間(私もですが)にとって非常に参考になります。

一方技術史だけでなく昭和史全般に興味がある人にとっても、中島飛行機のプロパーや海軍から出向で来ている監督官、海軍の航技省関係者の当時の考え方、人脈的繋がりや、組織風土など非常に参考になる情報が多くお薦め出来ます。

ちょっと残念なのは、著者が結論として述べたい主題と、それを導き出すエピソード、時系列的な物事の流れの纏め方があまり上手くいっていなくて、それぞれの印象が薄まってしまうように感じるところでしょうか。
この題材であれば、読んでちゃんと理解できる人しか読まないでしょうから、もっと論文調で章立てのはっきりした構成の方が良かったように感じます。
この点で-1評価させて頂きます。

しかし、上記のように大変優れた内容ですので、題名に興味を惹かれる方は是非お読み頂きたい一冊です。
このレビューは参考になりましたか?
27 人中、24人の方が、「このレビューが参考になった」と投票しています。
形式:単行本
いろいろな示唆に富んだ作品。MOT入門としても読める。

中島飛行機に代表される日本的エンジニアリングの限界を感じる。
・製造現場の技術レベルを知らない新米エンジニアによる生産性を考えない設計
・技術の本質が分からないマネジメント層による技術方針立案
・H2ロケット開発にも脈々と受け継がれる「誉」型エンジニアリング

自社の製品も同じ陥穽にはまっていると感じる向きも多いのではないか。
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