白水社EXLIBRIS、世界の現代文学第5弾となる小説。作者のアティーク・ラヒーミーは1962年、アフガニスタン・カブール生まれ。仏に亡命してから、映像作家として主にドキュメンタリーを撮っていた。最初の小説『灰と土』をダリー語で発表、その後小説家として活動。この『悲しみを聴く石』は2008年に発表されたもの。
小説というより戯曲を読んでいるような気になった。場所はジハードが続く、アフガニスタンのどこか。物語はまるで演劇の舞台、限定された空間、男が横たわる部屋で起こる。語り手である帰還兵士の妻は、意識なく横たわる彼女の夫の横でモノローグを続ける。そのセクシャルなモノローグだけでほとんど一冊150ページの話が出来てしまっているという話。
戦闘が続く地域に生まれ、そこを離れることができない女たちの一生は、男の欲望と暴力に抑圧され続けているのはいつの時代でもどこの土地でも同じかもしれない。ラストは衝撃的だ。