復讐劇を極めたような映画。
映画の前半ではチェミンシク演じる殺人犯を、嫌悪感と汚らわしいものを見るような目で観ていた。
しかし、やつのなりふり構わない生きることへの執着心と、やられたら倍で返すことへのこだわりに、やつのこれまで生きてきたすさまじい過酷な人生が垣間みれてしまい、逆境に対して決して心が折れない人間としてかっこ良くさえみえた。警察署に出頭するシーンは演出も相まってヒーローのようだった。現代人にはもうみられないような純粋な生きることへのガツガツした執着心には、感動さえ覚えた。
悪いやつにみえて実は良いやつでしたってことで印象が変わってしまうキャラクターは数多いけれど、こんなに表裏ない悪いキャラクターに対しての印象が変わってしまう映画はめずらしい。ノーカントリーのハビエル・バルデム演じる殺人者や、ダークナイトのヒース・レジャーにもちょっと通じる魅力的な悪役という共通点があるけど、あちらは人間を超越したような崇高さがあるけど、こっちはもっと人間的で下世話な感じがする。
あと自分にサイコっぽい気質があるのかと心配になってしまうけど、きれいな女の子と血のコラボレーションは非常に美しいと思ってしまった。
とにかく観終わった後に映画を観たという充実感と衝撃を久々に得られた良い映画です。
悪魔を見た スペシャル・エディション [DVD]