とうとう、手に入れて全部みた!
放映当時、私は高校生だったが、毎週まばたきも忘れるくらい集中して観たドラマだった。ドラマをこんなに真剣に観ることがなくなったのは、私がトシをとったせいだろうか。
否! 75年当時、私の母は今の私くらいの年齢だったはずだが、彼女だって毎回毎回身を乗り出し、それこそ息を詰めて観ていた。
沢田研二、若山富三郎以下、粋としか言いようのないキャスティング。那智わたるや安田(大楠)道代、浦辺粂子の起用など、嬉しくてぞくぞくするほどだ。
荒木一郎やゴールデンカップスのディブ・平尾をこんなふうに使うなんて。あの素敵な細川俊之を謎の中国人にしてしまうなんて。
テレビによく出ているというだけの理由で、存在感も演技力も皆無な女優や俳優を凝りもせずにキャスティングし続ける今のプロデューサーたちはこれを見て恥ずかしくならないだろうか? この作品を見ると、今、私たちはなんとくだらない、幼稚なドラマを見せられているかがわかる。そのことに怒りさえ覚える。
全編にただよう、この緊張感と孤独感はどうだ。この密度の濃さは、この哀しみの深さはどうだ。
あの頃、ドラマはまぎれもなく大人のものだった。そして25歳も過ぎたら、日本人はみな立派な大人だったのだ。
DVDセット2には脚本の長谷川和彦氏のインタビューつき。
最近よくある「秘話」という名の、別に聞きたくもないような下品な楽屋ネタではなく、本当に思いがけない話が聞ける。真摯にモノを作ろうとする、まっとうな「職人」たちの熱い姿がはっきりと見えてくる。